長いコトノハ駄文
□倭文織(しずおり)の糸、綾織の糸
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小さな白い花をつけた緑木は、朝日を浴び夜露で濡らした葉を、眩しく輝かせている…とても清々しい朝だった。
「…その傷も痕には残りますまい、どうぞ…息災で」
「はい、和尚様も。…色々助けて頂き有難うございます」
四月一日はそう応えた。
「鬼」との争いも鎮まり、以前世話になった橘の咲く寺の和尚のもとに世話になっていた四月一日達。
一段落ついたところで、自分達の居るべき場所へ帰る為の支度を済ませ…寺の前で礼を述べているところである。
願いを叶えるミセの店主で四月一日の雇い主…壱原侑子は、まだやることがあるとかで寺に残留するらしい。
四月一日君尋は、想い人である…自分を護るそのひと、傍らにいる百目鬼 静とともに挨拶をした。
†倭文織の糸、綾織の糸†
「お二方のお幸せをお祈り申し上げております…時折お顔をお見せくださいね」
にこやかに見送る和尚に別れを告げ、…四月一日は帰るべき場所に戻っていった。