長いコトノハ駄文
□金色の時の間(はざま)に
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「…どうしたの、こちらにくるなんて」
そう言って遙は煙草の煙をふぅ…と吹かした。
「…あ、いろいろあって」
ははっと苦笑いをする四月一日を、じぃーっと遙の袖から見ている小さい百目鬼。
「…祖父さま、あのひとは」
遙はちい百目鬼(これからはそう略します)の頭を優しく撫で、
「綺麗な子でしょう、祖父(じい)の大好きなヒトなんだよ」
そう言って笑いかける。
「祖父さまの?」
「は、遙さん!」
真っ赤になって怒る四月一日をちい百目鬼は眉を寄せて見ている。
その視線が痛く。
“百目鬼って祖父さん子なんだな”
「四月一日くん、お願いがあるんだが」
「…はい?」
「実は今朝から…」
‥‥‥‥‥
四月一日はかって知ったる百目鬼家の台所に立っていて。
今朝から百目鬼の両親は不在で、昼間は店屋物で済ましたというが、夕飯をどうしようかという所に自分がきたらしく。
…グツグツ。
「…油揚げがなぜか沢山…ヒツゼンか」
お稲荷さんを作る為に煮込む。
「砂糖多めっと」
台所から油揚げの甘辛く煮込む匂いが漂う。