長いコトノハ駄文

□金色の時の間(はざま)に
3ページ/65ページ

「痛ぇ…」

学生服をきた少年は痛みの走る横腹を押さえ、ゆっくりと起き上がった。
周りを見回すと先程いた外ではなく、仏具などが目に入り…そこがお寺の本堂だと気が付いた。

「…気が付いたんだね」

聞き覚えのある声とともに自分の元に流れ来る煙。
煙を辿り、みれば遙が本堂の縁側で煙草を吹かしていた。

「…先程は」

少年は体を起こし、縁側に近づき…彼の背中に伏して言った。

「…失礼いたしました、オレ」

「…右手に君の“狗神”の力が封じられていて、暴走するんだね、あの時」

そう言って遙は煙をまた吐き出す。

「…もし、静に何かあったら…君を」

遙は険しい表情で伏している少年を見た。

「容赦しなかった」

少年はその言葉にびくりと反応した。

「…まあ、突然ここに連れてこられて戸惑っていた君が私に反発するのは仕方ないけど…ね」

煙草の煙が流れてくる。

「…君のその右手は封じておいた、後で手甲をあげるから隠すといい」

そう言って振り向いた遙の表情には笑みがあり、月明かりが遙と伏した少年を映し出した。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ