長いコトノハ駄文
□金色の時の間(はざま)に
2ページ/65ページ
遙の足下で、少年は右手を押さえうずくまる。
彼の声は本当に苦しくもがくよう。
その光景を見ていた…紅い鞠柄の着物をきた幼子は、とっさに飛び出た。
「…祖父さま、そのひとは」
「静!?」
遙が一瞬幼子に気を取られた瞬間、少年の左手が外れ…少年は遙に襲いかかった。
「!」
どんっ。
鈍い音がした。
崩れ落ちる身体。
「…、君」
崩れ落ちたのは…少年で。
目の前の幼子を庇うように体をとっさに出し…
自分の右手を止めたのだった。
「…祖父さま、」
少年が倒れ行くときに体が当たり転んだ幼子を遙はそっと抱きあげる。
「…大丈夫かい静、お前も無茶するね…」
そう言って幼子の頬に頬ずりする。
「祖父さま」
幼子の瞳は足下に倒れ意識のない…少年を見ている。
「…大丈夫だよ、ただ眠っているだけだから」
そう言うと幼子を傍らに下ろし、懐から…透明な珠をつけた数珠を出した。
意識の無い少年の右手を取ると、目を瞑り何かを唱えた後…数珠を右手に巻きつけた。