長いコトノハ駄文
□揺蕩う糸の…
4ページ/9ページ
「…糸の事がそんなに気になるの?かな」
遙に言われ、こくんと頷く四月一日。
「“君尋”は和尚さんから貰った“静”と出会う為の糸を“遙”に渡した。…彼は自分が死ねば、それで終わると思ったから…何故なら」
「…“君尋”も君も…同性であったからでしょう?」
遙はまた煙を吐く。
「…そうで、す」
そう言うと四月一日は俯いてしまう。
「…同性故に“遙”について行っても、“静”の側にいても」
遙の言葉に四月一日はびくんとして、呟く。
「おれも“君尋”も命を繋げる訳もないですから」
冷ややかな風は二人を通り抜ける。
四月一日はぐっと拳を握りしめる。
「…どんなに相手を…想っていても、側を望んだとしても…おれは」
「…だから今回も、静と私の側を辞しようと?」
そう言うと遙は煙草を消して、四月一日を見つめる。
…その目は冷ややかで、それでいて怒りに近い何かを秘めた様に。