長いコトノハ駄文
□揺蕩う糸の…
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「…あの時の“君尋”はあなたに、“遙”についていこうという気持ちはあった…でも」
「…“静”にも想いがあった」
「…はい」
「…四月一日くん、少し座って話そうか」
そう言う遙に頷き、夜景の見えるそこに腰掛けた。
遙は煙草を取り出すと、火をつけた。
「…さあて、この話だけに私を呼んだ訳じゃないでしょう」
煙草の煙は、四月一日の側を通っていく。
「…お礼が言いたくて…百目鬼から蜘蛛に襲われた時の事聞きましたし…」
「…そう…、今回は少し厄介だったからね」
ふう…と煙を吐き出した遙を見つめる四月一日。
「…その節は、ありがとうございました…遙さ」
四月一日の唇に押し当てられた遙の冷ややかな指。
「…お礼はいいよ、君も静も無事で大変だったのだから」
とにっこり笑いかけた。
「…でも」
憂いを帯びた四月一日の視線は遙から逸らされる。