■ 御伽草子 -伊達 政宗- ■
□椿華
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季節は、身を切る様に寒い冬…
今日は、所用で城下へ行く事になっている
久々に○○と出掛ける口実が出来たと内心では嬉しく思っていた
○○と恋仲になって数か月…
女中の仕事に追われる○○…
城の中に居れども逢えるのは夜遅く…
それもほんのひと時…
まともな逢瀬など出来るはずもなく…
そういう事もあり、この日をひっそりと楽しみにしていた…
「○○…少しいいか…」
「あ…政宗様…どうかなさいましたか…」
数か月も経つが俺が声を掛けるだけで頬を赤く染める○○が堪らなく愛おしい…
「今日1日…俺に付き合ってくれぬか…城下まで出掛けるんだが…」
「城下ですか…ご一緒したいのですが…仕事が…皆さんにご迷惑を…」
そう口にすると女中仲間が“そんな事はいいから行ってきなさい”と口々に言い出した
しかし、○○は未だに迷っているようで…
本当にコイツは人の事しか考えられぬのか…まったく…どこまで優しい奴なのだ…
そう心の中で呟く…
「皆…すまぬな…」
それだけ言って○○を横抱きにする…
途端に顔を真っ赤に染める○○
「きゃ!!!えっ…まッ!!!政宗様ッ!!!」
そのまま馬屋まで足を進めた…
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