☆ FaiyrTale *リュウガ* ☆

□くまさん。‐海賊王のお買いもの‐
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しばらくし・・・・


ナギ・ハヤテ・トワで食料の補給に…。


シンは、銃の弾の調達に…。


ソウシは、薬草やら医薬品の調達…。


にと、それぞれの目的をもち船を下りて行った。


最後に船を下りたのは、俺と◇◇。


「◇◇。いいか。気をつけろよ。」


「分かってますよ。船が見えるとこに居ますから。船長こそ、あんまりお酒飲みすぎちゃだめですよ。」


「あー。分かってるよ。」


「じゃあ、船長。いってらっしゃい。そして、いってきます。」


「おぅ。行ってこい」


そういうと、◇◇は、くるりと踵を返し飛び跳ねるように港にある店に向かい駆けて行った。


その姿を見送り、馴染みの酒場へ足を向ける。


しかし…やはり◇◇が心配で、シリウスも見え、港の店が一望出来る酒場に入った。


港を見れば、◇◇が楽しそうに店を見て回っている。


ふと◇◇が足を止め、何かを手にしている。


何を持っているのか気になり、よく見てみれば…それは、“くまのぬいぐるみ”。


◇◇のヤツ…あれが欲しいのか…まったく…欲がない奴だ。


そのまま、◇◇を見ていれば、値段を確認したのか…


うーん。と淋しそうな顔をした後、名残惜しそうにソレを棚に戻した。


しばらくすると、調達を終えたであろうソウシが◇◇に声をかける。


ソウシと共に船に戻る◇◇を見届け、◇◇が立ち寄っていた店に向かった。


店の前まで来てみれば、自らの格好とあまりにも不釣り合いな店構え。


店の中に、入れば尚更実感する。メルヘンチックな店内。店内に居るすべての人間の視線がイタイ・・・。


店内を見渡せば、◇◇が手にしていたソレがちょこんと座っていた。手にしたソレを持ち、そのままレジに向かう。


「こちらは贈り物ですか?」


と、にこやかに聞いてくる店員に。


「そうだ。」


と一言、返事を返すのがやっと。


海賊王ともあろう俺が…こんな店で買い物を…恥ずかしさが身体の中をぐるぐる回る。


こんな、とこで買い物させるなんて…とんだお姫さんだ…


いや。違うな…俺は、そんなお姫さんに…どんだけ惚れてるんだ…。と心の中で呟いた。


「お…お客様…?」


店員の声に我に返る。


「すまん…なんだ。」


「贈り物でしたら、袋とおリボンのお色を選んで戴きたいのですが・・・・。」


店員が差し出す見本に指を指す。


「かしこましました。袋は、白。おリボンは、ピンクでよろしいですね?お包み致しますので少々お待ちください。」


丁寧に包まれた、ソレを受け取り店を後にする。


赤い上着の中に隠し、足取りも軽く船へ向かう。船長室に足早に戻り、クローゼットに包みを隠して、


◇◇の喜ぶ姿を思い浮かべ早く夜にならないかと思うリュウガだった。



**夕方***



全ての船員を乗せた船は港を出港。


◇◇が船縁から港を見て、“はぁ”と溜め息をひとつ。


その姿を見て、どうかしたか。と声をかける。


「あっ。船長…うーん。さっきの港のお店にね、可愛いくまのぬいぐるみがあったの。
欲しかったんだけどお金が足りなくて諦めちゃった…。」


と、ガックリ肩を落とす◇◇に。


「なんだそんなことか。だから、独りで買い物なんか行かずに俺と来りゃよかったんだ。ぬいぐるみなんか買ってやったのによ。」


そういうと、◇◇は、ぶぅ。と頬を膨らませナギの手伝いに向かった。


夕食後、ナギの手伝いを終え船長室に戻ってくる◇◇を逸る心を抑え、喜ぶ◇◇の顔を想像しニヤケる顔を手で隠し◇◇を待つ。


しばらくすると、トントンと階段を上がってくる音がし◇◇が船長室に戻ってきた。


寝間着に着替え、ベッドに潜り込む◇◇を見て徐に立ち上がり、クローゼットに向かいながら◇◇に問いかける。


「◇◇、独りで港を回った感想は…?」


「うーん。楽しかったよ。楽しかったけど…やっぱり、独りは寂しかった。みんなと買い物してるほうがいいみたい。」


笑顔で話す◇◇に・・・。


「◇◇…たまには、臨時ボーナスだ。お前は、アイツらの手伝いをよくやってるからな」


何の事だか分からないっと首を傾げる◇◇の頭を撫でながら、


クローゼットから出したソレを◇◇に差し出す。


一度、ベッドに潜り込んだ◇◇が身体を起こし、受け取った包みのリボンをしゅるりと解き中身を確認する。


その途端、ぱぁ。と笑顔になる◇◇。


「えっ・・・・あの…どーうして…これがここにあるのっ!!どーして、私が欲しかったくまさんを船長知ってるのっ!?」


くまのぬいぐるみを、ぎゅっ。と抱き締め興奮がちにリュウガに話しかける◇◇。


「お前の事は、なんでも知ってるよ。独りで歩いてもいいとは言ったがな。お姫さんが心配で見てたんだ。おかげで、こいつを買ってやれたがな。」


そう言われ、頬を赤く染める◇◇。


「ふふ。リュウガ…心配し過ぎだよ……けど…嬉しい…ありがとう…」


そう言いながら抱きついてくる◇◇を抱き締める。そのまま、◇◇は、リュウガに。


「リュウガ…だーいすきっ!!!!」


と耳元で囁く、そんな◇◇の姿を見て…


あの時、恥ずかしさを押し殺してくまのぬいぐるみを買ってよかった。と満足げに思うリュウガだった。



**おわり**
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