☆ FaiyrTale *リュウガ* ☆
□その瞳。‐本当の意味‐
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船長室の扉を開けたが◇◇の姿が見当たらない。
ふと見ると…ベッドにあるはずの掛布団はなく…
その掛布団は、何故かクローゼットからその一部がはみ出していた…。
クローゼットに近づき…そっと声をかける。
クローゼットを開けると掛布団を頭からすっぽり被りブルブル震え。
唇を噛みしめ声を押し殺している◇◇がいた…。
その震える肩にそっと手を置く…。
「いやぁ…!!!」
と悲鳴にも似た声を出し暴れ出した◇◇…。
「◇◇…◇◇…大丈夫だ…。俺だ…。リュウガだ…。」
と声をかけ抱きしめてやれば安心したのか◇◇が抵抗を止め大人しくなる。
「怖かったろ…。終わった…もう大丈夫だ…。」
今だに震えながらも声を押し殺し泣くのを必死に堪えているであろう◇◇に…。
「◇◇。もう、泣いてもいいんだ…。」
その言葉で緊張の糸が切れたのか大声で泣き始めた◇◇。
その姿を見て…気づいた…。
◇◇は、船に乗ったあの日から…
俺らを警戒していたんじゃなく…独り怯えていたんだと…。
毎夜…部屋の隅で涙を流していたのだと…。
こんな事にも気づいてやれなかった罪悪感からなのか縋り付き泣きじゃくる◇◇を
俺は、いつまでも抱き締め続けた…。
そのうち…泣き疲れたのか◇◇は、俺の腕の中で眠ってしまった…。
初めて見るその寝顔を確認し…◇◇の身体をベッドに横たえ、自らは床に寝転んだ。
翌朝、起きてみれば◇◇は、すでに起きていた…。
その日の夜…。
いつもなら、俺が風呂から戻れば既に部屋の隅で布団にくるまっている◇◇が近づいてきた。
「たまには、ベッドに寝るのもよかったろ。今夜も、お前はそこで寝ろ。」
そう言い自身は、床へ横になろうとするも◇◇は、動かず…。
◇◇は、一言一言を噛みしめるように話し始めた…。
「今まで…ごめんなさい…。優しくしてくれたのに。昨日は…ありがと。
……船長…と…寝たい…。ぎゅっとして寝て…欲し…い…。
昨日…ぎゅっとしてく…たの…安心したの…だから…だから…船長も…此処で…寝て…くれない……?」
初めて◇◇が自身の気持ちを俺に現したのが嬉しくて…
俯いて頬を真っ赤に染めたその姿がたまらなく愛しくて。
その言葉を聴き、ギシッとベッドに身体を沈ませる。
未だに俯いて動けずにいる◇◇に…。
「さぁ。こっちへ来い」
と声をかければ…
ぱっ。と顔を上げ赤く染めた頬で和らげな笑顔で俺を見る◇◇がいた…。
そこには、もうあの日の怯えた瞳をした少女はいなかった。
この日から、俺は◇◇を抱き締めて眠るのが日課になった・・・・。
*おわり*