新章 螢の光
□緊急朝礼
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びゅうびゅうと寒風が吹く。
丘の上にある学校の校庭には、島に住む国民たちが集められ、緊急の朝礼が行われていた。
朝礼台に、メガホンを持ったシンラが立ち、口を開く。
「えー。国民のみなさん、おはようございます」
「おはようございまーす」
ぱらぱらと、挨拶が返る。
寒風に曝され、寒いったらありゃしない。国民も王族も上着やコートを着込み、マフラーに顔を埋め、寒さに震えながらシンラの言葉を待った。
「今回、集まって貰ったのは、他でもありません。本日は、我が国王の命日です。が、先日その国王(バカ)が黄泉の国で親子喧嘩した挙げ句追放され、帰って来やがりまして、本日より国王職に復帰される事となりました」
後方に控えて、寒さでぶるぶると身体を震わせる兄をチラリと見る。
「幽体ですが、私生活に支障はない為、みなさまよろしくお願いします」
「(その前に、色々と突っ込ませろ)」
国民の気持ちが一致した。
びゅおーっと、風がいっそう強まる。
まさか、この知らせの為にみんなを集めたのか。
いや、シンラの事だ。きっと他にも大事なお知らせがあるはずだ。
「それから、もう一つ」
「(来た!)」
「国王の葬式で頂いた御香典ですが、帰って来た為、返却する事となりました」
「マジで!?」
「マジで!?」
ケイラと国民たちが一斉に顔を上げる。
外は寒いが、懐は少しだけぽかぽかと暖まってきた国民たちだった。
To be continued.