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□俺たちの日常4〜混乱〜
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「んっ・・・」

うっすらと覚醒し始めた俺の耳に今一番聞きたくて・・・でも一番聞きたくない人の声がきこえた。

「龍葵・・・?大丈夫か?」
「・・・かい・・と・・・?」
「体育の授業中に倒れたって聞いて・・・起きれるか?」
「・・・うん」

海斗の声は本当に優しくて、心配してくれてるの分かって涙が出そうになった。
無理矢理とはいえ・・・・俺は・・・

「龍葵?」
「えっ・・・なに・・・?」
「どうかしたか?なんかいつもと・・・」
「なっ、なんでもないよ?疲れてたのかな?あははっ」

俺、うまく笑えてる・・?
絶対海斗に知られたくない・・・隠し通さなきゃ・・・

「・・・」
「あっ、今何時?授業は?」
「・・・はぁ、授業はもう終わった、今は放課後」
「げっ!俺そんなに寝てたのか?」
「荷物は雨城から預かってる。車を呼んだから帰ろう。・・・歩けるか?」
「うん。なんとか・・・」

ベッドから降りると下半身に鈍い痛みが走った
その痛みがあの時が夢でないことを主張しているようで・・・

「龍葵?本当に大丈夫なのか?」
「えっ?大丈夫だって!海斗は心配しすぎだよ。」

顔を歪めた俺に気づいて海斗が俺の頭を撫で聞いてくる

俺は・・・こんなに心配してくれてる人を騙してる・・・
どうして・・・なんで・・・俺が・・・





家に帰ってから夕飯を断り部屋に閉じこもった
電気をつけずにいたから部屋は暗闇に近い
俺の頭の中は今日のことで溢れていた。息吹とは学校で何度かすれ違った程度、もちろん話したことなんか一度もなかった。
なのに・・・

悔しい・・・情けない・・・どうなってんだよ・・・俺はっ!!
まだ息吹の感触が身体中に残ってる・・・気持ち悪い・・・
そう感じたはずなのに・・・・アイツに・・・俺は・・・イかされた・・・
海斗を・・・裏切ってしまった・・・自分が情けない・・・

「っ・・・ふっ・・・」

俺は枕に顔を押し付けて涙を流した。
この涙とともに全てを流して明日には笑えるように・・・
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