いろいろ

□ツンデ恋歌
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二人並んで歩く、帰り道。

『ねぇ晴也』

「あん?」

たまごは、俺たちの影を見つめながら言う。

『好きだよ』

「またそれか」

正直聞き飽きるほど聞いた。

『だって本当なんだもーん』

そう言って笑うたまごはとても楽しそうで。

「もう聞き慣れちまったぜ?」

俺は意地悪く、そう言って返す。

そうやって言い返しておかないと、いつか俺がこいつを好きになっちまいそうで。

『えー…』

明らかに面白くなさそうな顔をするたまご。

『じゃあ…』

「?」

たまごはその場に立ち止まったかと思うと、俺の正面に回って言い放った。

『世界で一番愛してるよ』

俺の胸に爆弾が投下された気分だった。

対して、にっこり笑顔を崩さないたまご。

「いっ、意味不明だから」

俺は必死に反撃の言葉を口にする。

「薬でも飲んで寝たら治るんじゃねーの」

そう言い残して、目の前のたまごを避けて俺はまた歩き出す。

『そっけないなぁもう…』

そう一人呟いて、待ってよ、と小走りで俺の隣にたまごは並ぶ。

今まで、いろいろこいつには言われてきたけど、俺はあまりしっかりと対応してこなかった。

「『…』」

こんなふうに毎回沈黙になるんだ。

でも、決して居心地が悪いとは思わねぇ。

知ってるんだよ、本当は。

愛とか恋もそんなに悪くないって。

「(…わかってるけど)」

デレを見せたらそこで終わりだ。

すぐに見せたら、こいつもつまんねぇだろ?

だから、まだ見せねぇ。



ツンデ恋歌
(晴也〜〜〜〜〜!)
(暑苦しい…)
 
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