いろいろ

□ツンデ恋歌
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愛や恋なんて、とてもバカげた病気だ。

…と、俺は思う。

『晴也!』

放課後、屋上のタンクの上で寝ていると俺を呼ぶ声がした。

チラッと入り口の方を見ると、俺の方を見上げて手を振るたまごがいた。

『もう夕方だよ〜!一緒に帰ろ』

カバンを持ちながら、タンクの下の近くまでやってくる。

『晴也ー!』

動こうとしねぇ俺を見て、たまごは俺の名前を呼ぶ。

「めんどくせぇ」

そう言ってまた目を閉じる。

「…」

ん?

たまごの声が聞こえねぇ。

いつもならあそこで

゙ちょっと晴也!降りてきてってば!゙

とか言いながら一人で騒ぐんだ。

正直、すげぇ可愛い…じゃなくて!

「(たまご…?)」

片目を開けて屋上の入り口の方を見てみるが、たまごの姿はなかった。

「(帰った、のか…?)」

寂しい気持ちが押し寄せる。

それを紛らわすために、寝返りをうつ。

その瞬間。

『晴也ってば!』

「うわぁあああああ!!!」

真横からたまごが出てきた。

たまごが沸いてきた

誰が沸くか!

瞬間移動でもしたのか!?

なんて思いつつ、とりあえず身体を起こす。

「焦った…」

ぽつりと呟くと

『晴也のびっくりした時の顔すごかったよ』

そう言ってたまごは笑った。

『可愛かったなぁ〜』

「は!?だれが…!」

なぜか機嫌がよくなって、ルンルンしてるたまご。

『ね、帰ろ』

そんなニコニコしながら言われたら断れねぇだろ。

「…」

ゆっくりと立ち上がると、たまごはきょとんとする。

「?…なんだよ」

『いや…なんか素直だなぁって』

そう言いながら笑うたまご。

「とりあえず病院連れてってやるよ」

失礼な

俺は屋上の扉へ向って歩き始めた。
 
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