いろいろ
□argentum
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自室に戻り、私はベッドに腰掛ける。
彼はよく私の部屋のベッドを占領しているのでここに居るかな、とも思ったが居ない。
やっぱりまだ帰っていないようだ。
『(シュウさん、いつ帰って来るのかな…)』
気が付けばシュウさんのことばかり考えてしまう自分が居て、なんとか気を紛らわそうと、本棚の本を適当に手に取った。
ぱらりとページを捲る。
『…』
だめだ、シュウさんが頭から離れない…。
私は大人しく本を閉じ、再度ベッドへ寝転んだ。
『(シュウさん…)』
そして私の意識は段々と薄れていったのだった。
***
『ん…』
なんだかあたたかい感覚がして、ゆっくりと目を開く。
いつの間にか眠っていたようだ。
ていうかこのあったかいのは…
『シュウさん…!?』
待ち焦がれていたシュウさんだった。
彼は私のベッドに潜り込み、私を抱き締めて目を閉じている。
かと思えば、シュウさんは気怠げに片目を開いた。
「…うるさい」
『あ、ごめんなさい…でも、びっくりしちゃって』
いつもの様子のシュウさんに私は苦笑して見せる。
会いたかったシュウさんが、こうやって私を抱き締めてくれているなんて、なんて幸せなんだろう。
『おかえりなさい、シュウさん』
幸せを噛み締めながら彼にそう言葉を掛けると、彼は私の首元に顔を埋めてきた。
「ただいま、たまご」
ぎゅうっと抱き締められる力が強くなったので、私はシュウさんの頭をゆっくりと撫でた。
すると、気付いたことがある。
『…え?』
シュウさんの頭を撫でた私の左腕…
正しくは左手の薬指に、見慣れないシルバーのリングが光っていた。
『…こ、れ…シュウさん…?』
「…気付くの遅」
ふいっと目線を逸らされる。
でも、今の私には指輪のこと以外考えられなくて。
『これ…シュウさんがくれたんですか…?な、なんで…』
自分の指で輝くリングとシュウさんを交互に見つめながら、私はシュウさんに問う。
「たまごが俺のものだってシルシ。今日もどうせ俺が居ない間、アイツ等に狙われただろ」
『そ、それは…』
今日一日、シュウさんが居なくてここぞとばかりに襲い掛かってきたみんなを思い返す。
「まぁ別にそんなの無くたって、お前が俺のものなのは変わらない。つけてもつけてなくても俺は気にしない」
『…つけます。ずっとずっと、大切にします』
相変わらずそっぽを向いたままのシュウさんを見つめながら私は言った。
『シュウさん、ありがとうございます!』
シュウさんの頬が、少しだけ赤みを帯びた気がした。
argentum
(このシルバーリング、とっても綺麗です)
(シルシは別にシルバーじゃなくて、赤いのをココに、でもいいんだけど)
(首に赤いシルシ…って…し、シュウさん!!)
***あとがき
紫乃様フリリク作品です!
シュウさんが一日お出掛けなんて有り得ない…とか思いつつ書いていました。←
女の子のためにシルバーリングを買いに行っていたということですね、はい…
吸血鬼から"銀"をプレゼントされるという意味…
深い意味があるようでないような、ないようであるような…♪笑
・本を読むことが好き
・一人称私
・話し方は敬語
・シュウさんと女の子の甘いお話
・恋人同士
中々設定を活かし切れておらず申し訳ございません…
冷静沈着キャラ書くのが下手くそでしてorz
こんな駄文でよろしければどうぞ…!
リクエストありがとうございました!
とこたん。