いろいろ

□argentum
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『(今日も大変だったなぁ)』

一日の終わりにシャワーを浴び、私は今日の出来事を振り返りつつ、シャワー室から自室へと足を進めている。

今日は祝日で学校がお休みだった。

そのため、一日中お屋敷内には居たんだけれど…

午前中は洗面所に居合わせたアヤトさんに吸血されそうになったり。

お昼過ぎにお庭でのんびりしているとカナトくんが甘えて抱き着いてきた…かと思えば吸血を欲求してきたり。

夕食後のみんなが去った後のダイニングでスバルさんに壁ドンされたり。

先程お風呂に入っているとライトさんが乱入して来ようとしたり(未遂です!)。

みんなに振り回されて大変だった。

レイジさんはそれを見て助けるでもなく加勢するでもなく、いつもの様子で…。

『(…シュウさん、居るかな?)』

いつの間にかシュウさんの部屋の前に着いていた。

今日は一日出掛けるとのことで、シュウさんにはまだ会えていないのだ。

そこで私はハッとする。

『(なるほど…今日はシュウさん不在だったから、みんな代わる代わる私を吸血しようとしてきたのか…)』

私達が想いを通い合わせてからは、いつも私の隣に居てくれたシュウさん。

一日顔を見ていないだけで、声を聞いていないだけで、ひどく寂しい。

『(…シュウさんに、会いたい)』



コンコン



シュウさんの部屋の扉をノックする。

しばらく待ってみるが反応は無い。

『(まだ帰って来てないのかな)』

夕食時に戻って来てなかったから、お風呂上がった頃には戻って来てると思ったんだけど…。

『失礼します…』

ガチャリとドアを開けて部屋の中を覗き見るも、シュウさんの気配は無い。

やっぱりまだ帰って来ていないみたいだ。

『(…寂しい。シュウさん、会いたいです…)』

静かにシュウさんの部屋のドアを閉めて私は大人しく自室に向かう。

下手に廊下をうろうろして、吸血兄弟達に捕まりたくないのだ。

『(私が吸血して欲しいのは、シュウさんだけだから)』

そこまで考えておいて、自分で自分が恥ずかしくなってくる。

でも、それくらいにシュウさんが愛しいのだ。
 
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