いろいろ

□君に目眩
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何か悪戯しようかな、とも考えたけれどやっぱり辞めることにした。

『(睡眠の邪魔はしたくないしね)』

ベッドに凭れる形で床に腰を下ろす。

言い忘れていたけれど私の部屋は和室なので、床(というか畳)に腰を下ろしても痛くないのだ。

ベッドも和室に合った落ち着いた色合いのローベッドなので、シュウさんも気に入ってくれているらしい。

ローベッドに凭れると、ちょうど肩甲骨辺りにマットレスが来るような高さなので凭れやすい。

『(さてと!早速読もう)』

「…おい」

聞こえて来た声に振り返ると、ベッドの上から片目だけ目を開けてこちらを見ているシュウさんと目が合った。

『シュウさん…起こしちゃいましたか?』

「いや、起きてた」

『お、起きてたんですね…』

悪戯しなくて良かったぁあ…!

ほっと胸を撫で下ろす。

「アンタの居場所はそっちじゃねぇだろ」

『え?』

トサッと本が音を立てて畳の上に落ちる。

私はシュウさんに腰を掴まれ、器用にベッドの中へと引き摺り込まれた。

「…こっちだろ、たまご」

薄く笑いながらそう言うシュウさんの表情。

腰に回される優しい手つき。

珍しく名前を呼んでくれたこと。

シュウさんのすること全部に私がドキドキするって知ってて…シュウさんはずるい。

赤くなった顔を見せないように、シュウさんの胸に顔を埋めた。

いいにおい…落ち着く…。

スゥッと、肩から自然と力が抜けていくのが分かる。

シュウさんとこうしてベッドでごろごろしている時間は本当に幸せだ。

『シュウさん…』

胸に顔を埋めたまま、ぽつりとシュウさんの名を呼ぶ。

シュウさんは答える代わりに私の頭を一撫でした。

『私、幸せです。こうしてシュウさんの隣でのんびり過ごせるのが…嬉しいです』

言いながら恥ずかしくなったけれど、日頃の感謝の気持ちだ。

『いつもありがとうございます…!』

そう言って顔を上げれば、シュウさんは珍しく顔を赤くして目を逸らしていた。
 
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