いろいろ
□君に目眩
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『♪』
私は今、自分でも分かるくらいに至極ご機嫌だ。
以前本屋さんで見掛けた、花言葉の本を買えたのだ。
中々タイミングが合わずに買いに来られなかったため、品切れ状態になっていないか心配だったから本当に嬉しい。
『(あぁ、早く読みたいなぁ)』
でもお屋敷に帰って、シュウさんが寝ていなければシュウさんとお話がしたい。
…ほとんどの確率で寝ているだろうけれど。
私は軽い足取りで本屋さんを出た。
***
コンコン
早速お屋敷に帰ってシュウさんの部屋の扉をノックするも、返事は無い。
返事が無いのはいつものことなので私はガチャリと扉を開ける。
『失礼します…』
そろりと部屋の中を覗き見るが、そこにシュウさんの姿は無かった。
『あれ…?』
てっきりここで寝ているかと思っていたのに。
後で館内を探そう…でも買ったばかりのこの本を、先に部屋に置いてからじゃなきゃね。
私は静かにシュウさんの部屋の扉を閉めて自室に向かう。
『(…シュウさん、起きてると良いな)』
会いたい、話したい、声が聞きたい。
もしシュウさんが館内のどこかで寝ていたら、流石に睡眠の邪魔はしたくないので素直に自室で新しい本を読もう。
そうこう考えていると早速自室に着いた。
扉を開けると、そこに居たのは…
『シュウさん…?』
お目当てのシュウさんが私の部屋のベッドに身体を横たえていた。
目を閉じてイヤホンをしているため、私が入って来たことに気付いていない…というか寝ているようだ。
私はそっと自室の扉を閉めて、静かにベッドの方へと近寄る。
『(いつ見ても綺麗な寝顔…)』
勿論起きている時も綺麗なのだけれど、と心の中で補足しておく。
肩で小さく息をしているシュウさんに思わず、可愛い、と言葉を漏らした。