いろいろ
□アナタ色
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シャアァァ…
浴室内にシャワーの音が響いている。
学校から帰宅し、自由な時間を過ごした後に食事を取り、今はシャワーを浴びている状態。
浴室内に響くシャワーの音は、聞いているだけでなんだか気分がさっぱりしてくる。
気分が良くて一人で鼻歌を歌ってみた。
『(今日は誰にも吸血されなかったなぁ)』
放課後に同じクラスのシュウさんに襲われかけたけれど、私を迎えに来てくれたコウさんが守ってくれたおかげでなんとか吸血から逃れることが出来たのだ。
いつも吸血されている分、血が余っているのか…今日の私は疲労感があまり無い。
『(今日のデザートのケーキ、美味しかったなぁ)』
ご機嫌な頭で脳天気なことを考える私。
完璧に再現は出来ないけれど、今度自分で似たようなものを作ってみようかなぁなんて心の中で考える。
ルキさんに渡して、喜んで貰いたい。
『…まぁあのルキさんが喜ぶ所なんて想像出来ないけど』
そもそもケーキは好きなのだろうか?
『(ルキさんがケーキを食べるイメージはないな…でもさっきの夕食時のデザートとして、ケーキは食べてたし…)』
ケーキを切り分ける彼の美しい所作を思い出すと、自分の心音が早くなっていくのが分かる。
全身を洗い終え、バレッタで適当に髪を纏めてからバスタブに入ろうと足をかける。
すると、ガチャッと浴室のドアの開く音が聞こえた。
「俺の喜ぶ所が想像出来ない、か」
『る、ルキさん…!?』
振り返るとそこには、衣服を一つも身に纏っていないルキさんが立っていた。