いろいろ

□花弁にキス
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スバルさんは私を待つ間に眠ってしまったようで、軽く寝息を立てている。

ふと、ふわふわの髪が目に入った。

『…ふふ、やっぱり似てる』

牡丹の花のようにふわふわと重みのある髪。

思わずその髪に手を伸ばす。

すると、

『!?』

腕を掴まれ、ソファに押し付けられ、目の前には…

『スバル…さん…?』

こちらを見下ろすスバルさんの顔。

スバルさんの顔がとても近い。

それを意識すると頬に熱が集まるのを感じた。

『あの…ここ図書室なので…離してください…それに寝てたんじゃ…?』

「あぁ?」

私の言葉に眉を釣り上げるスバルさん。

「お前今、俺に何かしようと企んでただろ?」

『そ、それは…』

髪に触れようとした、撫でたかった、なんて言うとどうなるのだろうか。

もし機嫌を損ねてしまったらそれこそこの場で暴れ出して、他の生徒に迷惑を掛けてしまうのでは…。

『…』

ここはカウンターの前なので、生徒達からは死角になっているようで誰にも気付かれていないようだった。

「答えられねぇってことは、そうなんだな?」

『それは…えっと…』

「どっちなん『す、スバルさんにっ』…は?」

ここで大声を出される訳にはいかないと思い、私はスバルさんの言葉に自分の言葉を重ねる。

『スバルさんに…触れたいと、思いました』

私をソファに押し倒しているスバルさんの両頬に、ぎこちなく自分の両手を添える。

私を見下ろしている体制のせいで彼の顔に掛かった髪を、手で避けてやる。

すると真っ白な髪の奥から真っ赤な目と、同じく真っ赤な頬が見えた。

『スバルさん…顔真っ赤…うっ』

言い終わらない内に、スバルさんの顔が近付いてきたかと思えば…首に牙の感触。

じゅるっと音を立てられ、私は彼の制服のシャツを握り締めながら抵抗する。

『や…ダメです…!ここには他の生徒が…』

「見せてやれよ」

ごくごくと血を飲む音が耳元で聞こえて、ビクリと身体を震わせる。

そこで首から牙を離された。

「…甘ぇ…。おい、こんな香水つけてんなよ…お楽しみの邪魔だ」

こんな香水、というのはせっけんの香水のことなのだろう。

…お気に入りだったのにな。

『…』

「…チッ」

舌打ちが聞こえたかと思えば、スバルさんは私から身体を離した。

私も続いて状態を起こす。

ほっとしたのも束の間、

『んっ!』

顎を掴まれキスされた。
 
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