いろいろ
□花弁にキス
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仕事が一通り終わった頃には生徒は疎らになっていた。
早く仕事を片付けた私はカウンターに座り、今日入荷されたばかりの花言葉の本を読んでいる。
この本を読みたくて私は早く仕事を終わらせたのだ。
花言葉の本が入荷されてくるのは珍しいし、これは新しい本なので私の持っている本には載っていないものがあるかもしれない。
わくわくしながらページを捲っていく。
『(あ、この花は初めて見るなぁ)』
流石…やっぱり新しい本には新しい発見がある。
見ていると時間が過ぎるのはあっという間だ。
またぺらりとページを捲る。
『(…この花)』
牡丹の花のページで私は手を止める。
牡丹の花で有名なのは赤色。
でも、重厚感のある白い花弁も好きだ。
花言葉は、"王者の風格"、"恥じらい"、"誠実"。
なんだかこのページを見ているとスバルさんを思い出す。
ふわふわの白い花弁は彼の髪…
赤は彼の燃えるような赤い目。
いつもは堂々としていて、ちょっと乱暴でぶっきらぼうだけれどカリスマ性があって、打ち解けてくるとさっきみたいに頬を赤く染めたり。
今もこうして私の図書委員の仕事が終わるのを大人しく待ってくれていて、心がとても優しい人。
『(…牡丹の花、好きだなぁ)』
そう思いスバルさんの居るソファへと目をやると、彼は下を向いていて先程から一切動かない。
『…?』
大丈夫かなぁなんて思いながらもソファの傍へ足を進める。
『…寝てる?』