いろいろ
□チョコレート不足
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ある日の昼下がり。
ここは松野家。
私は松野家の一部屋にあるソファにもたれ掛かり、雑誌を読んでいる。
そこから少し離れたところに、おそ松くんが横になって雑誌を読んでいる。
うん、たまにはこうやってだらだら過ごすのも悪くないな。
「…」
『…』
ちょっと小腹空いてきたな。
甘いものが食べたい。
チョコとか食べたいな。
「なぁたまごちゃん」
ゆるい彼の声が室内に響く。
『ん?どうしたの、おそ松くん』
「たまごちゃんってさぁ、チョコ好きだっけ?」
『え』
おそ松くんは視線を雑誌に向けたまま私に問うた。
あれ、今私声に出してたっけ?
ちらりとおそ松くんの雑誌に目を向けると、誌面に"構ってちゃんな彼女"とでかでかと書いてあるのが見えた。
なんだそのタイトル。
『うん。チョコ好きだよ』
なんだろ、チョコくれるのかな。
今日は特にホワイトデーでも何でもないはずなんだけど。
「へぇ…チョコ好きなんだ」
私の答えを聞くなり、おそ松くんはニヤリと笑い、雑誌を閉じた。
そして、おそ松くんと目が合う。
『(あ、なんか嫌な予感がする)』
自分の背中に冷や汗が伝うのが分かった。