いろいろ
□とろけるような甘い時間を
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キッチンの方から物音がする。
見てみると、そこにはたまごさんの後ろ姿があった。
ボクはたまごさんの背中へと歩み寄る。
「あの…、おはよう…」
『うわぁ!良太くん!?お、起きてたの!?』
ボクの声に反応し振り返ったたまごさんはぎこちない笑顔だった。
「いや、寝てたんだけど…目が覚めちゃって」
ボクの言葉を聞いてたまごさんは不思議そうにしていたが、急に慌て出した。
『さっきの音のせいだよね?起こしちゃってごめんね』
そう言ってしょぼんとするたまごさん。
「え!?あ、スイマセン!そんなつもりじゃ…」
『ほんとはサプライズにしたかったんだけどしょうがないよね』
え?と、謝るために下げていた頭をボクは上げる。
『はいこれ、良太くんにプレセント』
すっと差し出された両手。
その手の中には、少し焦げた色のついた、カップケーキ。
『今日、結婚記念日だから』
照れ笑いしながらそう言うたまごさん。
こんな朝早くから、頑張ってくれたんだ…。
僕のために。
「…」
『…良太くん?』
僕はなんだか胸がいっぱいになり、思わず彼女を抱き締めた。
「ありがとうっ!」
とろけるような甘い時間を
(お、おいしっ…!)
(ほんと!?)
(はい!)