いろいろ

□幼馴染の壁を今
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ちゃぽん。

湯船に入ると、そんな音がする。

私は家に帰るとさっそくお風呂に入った。

早く嫌な汗を流したかったからだ。

あと、涙も。

『…』

゙? おい、たまご…゙

゙離してっ!!゙

先ほどの光景を思い出してしまう。

絶対、嫌われた。

『…』


それは悲しいけど…悪いのは大揮くんだ。

でもそれ以上に悪いのは、私だ。

『…大揮くんのばかやろう』

ため息混じりに呟く。

「誰がバカだって?」

『大揮くんが………っ、え?』

突如聞こえた他人の声に、私は声のした方…脱衣場(ドア越し)に目を向ける。

すると



ガラッ



服を着たままの大揮くんが、入ってきた。

『だあぁぁぁい!!?』

え!?

大揮くん!?

大揮くんが入ってきた!?

うそぉ!?

私はパニックになり、湯船の中で暴れ回る。

「おい、そんなに暴れんなよな」

言いながらも、大揮くんは私のすぐ近くまでやってくる。

『だだだだって!大揮くんが入ってくるから…!』

とりあえず、見られるとまずいところは隠しながら大揮くんに言う。

主にお腹。

『ど、どうやって家入ったの?なんで来たの?デリカシーとかないの!?』

一気に言うと、大揮くんは面倒くさそうに頭を掻く。

「そりゃお前、あんなふうに出て行かれたら追うしかねぇだろ。家は鍵開いてたからな、親もいねぇし」

淡々と答える大揮くんに、私はヒートアップしていく。

『それでも躊躇いとかないの!?』

「あぁ、今さら んなもんねぇよ」

『ていうか女性の入浴中に入ってくるとかおかしいでしょ!』

「そうか?」

『そうだよ!私たちもう高校生だよ!?』

「知ってる」

『幼なじみだからって、何とも思わないの!?』

「…」

最初は言い返してきた大揮くんは黙ってしまった。

そうすると、しだいに私も声のトーンが下がる。

『いつまでも子どものまま変わらないと思わないで』

「…」

私は最後の言葉を畳み掛ける。

『………出てってよ…』

言いながら、悲しくなった。

泣きたくなった。

せっかく大揮くんが来てくれたのに。

こんなの最悪だ。

耐え切れず私はそっぽを向く。

「………」

少しの沈黙の後。

「…はぁ…」

その場にしゃがみ込んでいた大揮くんは、ため息と共に立ち上がった。

そしてそのままドアを開け…

大揮くんは去っていった。
 
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