いろいろ

□ちょっとだけ
2ページ/2ページ




「なぁごめんって!」

『…』

「反省してるから!」

学校を出て二人仲良く(?)並んで歩く。

終始無言だったたまごちゃんは口を開いた。

『い…いいよ。でも…』

「ん?」

たまごちゃんは俯き気味で、小さな小さな声でこう言った。

『ほんとに恥ずかしかったっ…』

…これ絶対誘ってるよな。

たまごちゃん誘ってるよな。

無意識でこの可愛さはマジ犯罪だよな。

うん。

これは俺、我慢しなくていいんじゃね?

ちょっとだけなら…。

「…」

『高尾くん…?』

ふと歩くのを止めた俺に続き、たまごちゃんも足を止める。

『さっきからどうしたの?気分悪いの?』

「…たまごちゃんワリィっ」

『え…、んっ!』

俺はたまごちゃんの腰を抱き寄せ、自分の唇をたまごちゃんの唇に押し付けた。

「(ちょっとだけ…)」

たまごちゃんは周りを気にしているからか、真っ赤になりながら俺の胸を叩いて抵抗してくる。

でも、離してやらない。

「(ちょっとだけ、ちょっとだけ…)」

そう頭に言い聞かせるも、たまごちゃんの唇はふわふわと柔らかくて。

俺はずっと長い時間、何度も何度もたまごちゃんの唇に自分の唇を押し付け、吸い付いた。

『ふ…ぅ…』

そんな声が聞こえて目を開けてみると、たまごちゃんは本当に立っているのが辛そうな顔をしていた。

「(あとちょっと…)」

俺は最後に一舐めして、唇を離した。

『はぁ…はぁ…』

「………ふー…」

お互いに呼吸を整え、しばらく無言。

これは…怒らせちゃったかな?

内心まずいと思いながら、俺はたまごちゃんの顔を覗き込む。

「…なぁ…たまごちゃん?だいじょう…」

屈み込んでたまごちゃんを見ると、たまごちゃんと目が合った。

すると。



ちゅっ



「…えっ」

『仕返し!』

そう言って逃げるように走り去っていくたまごちゃん。

「…今のは絶対、たまごちゃんが悪い!」

そう言って俺は足を動かした。

君に追い付くまで、あとちょっと。



ちょっとだけ
(つっかまーえたっ!)
(早い…さすがバスケ部…)



***
あとがき

間違ってグロスが口の中に入った時の苦さ…←
 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ