いろいろ

□ベタな愛し方
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「で、真ちゃんがさー!」

『そうなんだ』

他愛のない話をしていると、もう家がすぐ近くに迫っていることに気付いた。

『もう家…着いちゃうね』

「そだねー。たまごちゃんといると、ホント時間のこと忘れるよ」

『ぇ…あ…うん、私も…!』

笑ながら言う高尾くんに私の心臓は高鳴りっぱなしだということは、内緒にしておこう。

私がこうしてドキドキしている間にも、家の前に着いてしまった。

「ついたねー」

『…うん』

二人して家の前で立ち止まる。

繋がれていた手が、自然と離れる。

「今日は久しぶりに一緒に帰れてよかった!」

そう言って高尾くんは踵を返す。

『うん…私も!』

「…じゃ、また明日!」

言いたいことや大切なことはいつも彼に言わせてばかりだ。

今日は、私が。

『あの…高尾くん!』

「ん?」

振り向いた高尾くんは不思議そうな表情をしていた。

そんな高尾くんの手を取り、顔を見る。

『また、一緒に帰ろうね!』

そう言ってちらっと視線を上に上げると、唇に柔らかい感触がした。

「゙和成゙だから」

言いながら、にんまりと笑う高尾くん。

「じゃ、また明日!」

そう言って去っていく彼の背中を見送る。

『和成、くん…』

恥ずかしさと照れ臭さのせいで、溶けてしまいそうな気がした。



ベタな愛し方
(こんなベタな愛し方ですが俺を愛してください)
(か、和成くん、か…恥ずかしい…!)



***
あとがき

なんだこれは。
 
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