いろいろ

□Like a sunshine
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『………ひっく…、うっ…』

あれから私はずっと泣いていた。

先ほど鏡を見てみると目元が少し腫れていたので、早く帰ることにした。

こんな姿は誰にも見られたくない。

『早く帰らなきゃ…』

早く帰って早く寝よう。

そう思うのに、身体は動いてくれなかった。

゙もとの関係に戻りたい゙

『…』

思い出すと、また涙が出てきた。

泣いたってどうにもならないことは頭ではわかっている。

でも涙は止まってくれない。

『ぐすっ…』

流れる涙を一掬いする。

すると、突然後ろから声がかかった。

「たまご?」

『っ!』

反射的に振り返ると

『と、徳川先輩…』

焦った表情の徳川先輩が立っていた。

たまたまこの教室の前を通りかかったらしい。

開いたままのドアをすり抜け、徳川先輩はゆっくりと近付いてくる。

この人のことだから、泣いたり困ったりしている人を見捨てることなんてできないんだろう。

でも、今は一人にしておいてほしかった。

「何かあったのか…?」

『いや…っな、何でもない…です』

私は慌てて徳川先輩に背を向けて涙を拭う。

「何でもないことないだろう」

近付いてきた徳川先輩は、そう言って私の腕を掴んだ。

『!』

私は驚いて、濡れた目で徳川先輩を見る。

すると徳川先輩は私の後頭部に手をまわして、私の頭を自分の胸元に押し当てた。

「泣きたい時は泣きたいだけ泣けばいい」

徳川先輩の優しい言葉と温かい体温に、また涙が零れそうになる。

涙を堪えるのに必死で何も言えずにいると、先輩はまた口を開く。

「ワシが傍にいる」

だめ。

今だけは優しくしないでほしい。

「泣いて泣いて、それから思い切り笑おうじゃないか!」

そう言った先輩の顔を見上げる。

それはそれは、太陽のように眩しい笑顔で。

『徳川先輩…』

背中にまわされた腕に力が込めらる。

私は涙を堪えるのを、やめた。



Like a sunshine
(だからたまご)
(あいつよりもワシを選べ)



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