いろいろ

□mail
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そして、走りながらの質問責め。

《「なにがあったの!?大丈夫!?てかどこまで行っ……イッたの!?詳しく聞かせてほしいんだけど…!」》

《『ん…っふ、吹雪…くんっ』》

電話越しに聞こえるなんだか辛そうなたまごちゃんの声。

《「………たまご、ちゃん…?」》

僕は…想像してはいけない光景を想像してしまった。

《『んん、くぅっ…もう…だめ…』》

まさか…たまごちゃんは本当に襲われて…?

《「たまごちゃんっ!!だめだよ、僕たちまだ…そこまで進んでないのにっ…!!」》

《『だ…から…っ付き合ってない、でしょっ、てばっ…!』》

僕は走るスピードを上げる。

《「待って、待って!たまごちゃん!!いま向かってるから…!もうちょっとでそっちに着くから!」》

僕がそう言い聞かせていると

《『うん…っはや、く…助け…、…いやあぁぁ!!』》

《「たまごちゃん!?」》

いきなり叫んだかと思うと急にたまごちゃんの声が聞こえなくなった。

ケータイを落としたみたいだ。

《「たまごちゃん!」》

ケータイに向かって叫ぶとケータイの向こうから物音がした。

ガタガタ、と何か争っているようだ。

《「たまごちゃ「さっきから…誰と電話してるの?」」》

ケータイの向こうから聞き覚えのある声がした。

《『誰でもいいでしょ!』》

《「よくないよ。相手が男なら、余計にね」》

僕はただ、二人の会話を聞いていることしかできなかった。

《『な…なんでよくないの!?』》

《「…だってさ」》

《『…なに?』》

《「僕たち付き合ってるんだしさ」》

えっ。

思考が止まる。

走っていた足も止まる。

付き合ってる?

たまごちゃんとこの人が?

《『付き合ってなんかないってば!』》

僕は恐る恐る、この声の主の名前を呼んだ。

《「基山、くん…?」》

声が震えそうになる。

《「おはよう、吹雪くん」》

返す言葉が思い付かなかった。

《「なん、で…」》

《「ほらたまごちゃん。僕たちがラブラブしすぎるから吹雪くんが妬いちゃった」》

《『ラブラブなんかしてないから!』》

小さくたまごちゃんの声が聞こえる。

《「…っ」》

僕は何かを考えるより先に、また走り出した。
 
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