いろいろ
□告白予行練習
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***カノ視点
昨日たまごが言ってたのは、本当のことなのかな。
たまごのあの言葉がどうしても頭からチラついて離れない。
僕は朝から不機嫌だ。
ガチャ…
「『!』」
リビングに入ると最初に目が合ったのはたまご本人だった。
「おはよー、今日も寝癖すごいね」
『…おはよ、今日もアホみたいな顔してるね』
「ひどいよね」
たまごの悪態には慣れっこだけど。
こんなかんじで僕らの朝は始まる。
「ふぅ…」
ボフッと、いつもの席であるたまごの隣に座る。
たまごは雑誌を読んでいて、キドが朝ごはんを作ってくれてるみたいだ。
近くに人がいないことを確認してたまごにたずねる。
「で、どう?恋の方は。順調?」
『…』
ん、なんか不機嫌?
僕と一緒だ。
いやーでもたまごが不機嫌になると怖いぞー。
『…カノ』
パタンと雑誌を閉じてこちらに身体を向けるたまご。
「ん?なに、何か進展でも…」
言いかけて、ドキッとした。
『いきなりでごめん、ずっと前から好きでした』
少し泣きそうになりながら、少し頬を染めて言うたまご。
え、うそん。
「ちょ、え、えぇぇぇっとぉ…!!?ちょ、ちょっと待って!大体たまごが僕に告白なんてらしくないっていうか…!!」
まずい。
なんでこんなドキドキしてるんだ、僕の心臓は。
たまごのさっきの表情が頭に焼き付いて離れない。
『ぷっ…』
「…へっ?」
たまごの含み笑いに我に返り、たまごと視線を合わせる。
『本気と思った?練習だよ練習!あははは!』
「…はあぁぁああぁっ!!?」
驚きすぎて思わず大声を上げてしまった。
可愛いでしょ?
ドキドキした?
なんて聞いてくるたまごに殺意が沸いてくる。
「…」
『いだっ』
とりあえずチョップで済ませたけど。
「まぁ、なかなかいいんじゃない?頑張んなよ。応援してるからさ」
僕はたまごの頭を乱暴に撫でて無理矢理話題を切り上げ、その場を去った。
「(練習ね…)」
たまごに触れた手が、熱い。
僕は胸が、痛い。