いろいろ

□キャラかぶり
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『ちょっ…チカちゃん!痛い!手首ちぎれる!』

たまごは俺に手首を引っ張られなんとか転ばないようについてくる。



バンッ



荒々しく屋上のドアを開けたまごを壁に押し付ける。

『痛っ…』

「…」

『チカちゃん…?』

ずっと曇った顔で黙ったままの俺の異変に気付いたのかたまごは押し黙る。

「…」

『…いたいよ…』

俺を見てたまごは身体を強張らせていた。

そんなたまごを見下ろしながら俺は思う。

…今思ったけど、俺ってたまごの言うとおり…

キャラかぶりまくってんじゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!

なんで!?

おかしくね!?

ここまでキャラかぶりしてる奴ってなかなかいねぇよ!

キャラかぶってるってことは俺の良いとこも悪いとこも誰かと同じってことで…。

『チカちゃんごめんね、悪ふざけがすぎたなら謝るから!』

こいつは…

『私、いつもみたいにからかってただけで…!』

たまごは…

『………チカちゃん…?』

俺のこと、どう思ってるんだ?

「たまご…」

『チカちゃ…、…っ!』

俺はたまごの唇を無理矢理奪った。

あぁもう完全に嫌われる。

付き合ってもないのに、こんなこと。

たまご…悪ぃ。

頭ではそう思うのに、身体が言うことを聞かない。

「…」

『んんっ…』

苦しそうにするこいつを見て、俺はやっとたまごを離してやる。

『チカちゃん、ちょっと…どうしたの急に…』

そう言って息を整えながらたまごは笑う。

………゙笑ゔ?

「な、何で…笑ってんだよ」

『失礼な!私だって笑うよ、人間だもの!

いやそうじゃねぇよ

なんだコイツは。

なんだこの反応は。

『じゃあ何?私が笑ってちゃだめなの?』

「…だから!付き合ってもねぇ男に無理矢理キスされて何で笑ってんだよ!」

俺がそう怒鳴るとたまごは目を丸くする。

そしてたまごはまた笑う。

『じゃあ付き合っちゃえばいいんだよ』

まるで他人事のようにさらっと言ってのけたたまごに、俺の方が脱力する。

「はぁ…」

『うわっ…チカちゃん?』

たまごの首に顔を埋めるようにして身体を預ける。

思っていたよりも柔らかかった。

いいにおいがする。

「俺…眼帯キャラだしヘタレわんこだし鬼だし白髪だし、キャラかぶりまくってんだぜ?」

俺がそう言うとたまごは首に腕をまわしてくる。

俺は驚いて顔を上げた。

『いいんだよ?』

首にまわす腕の力を強められる。

『私はそんな、キャラかぶりしてるチカちゃんが好きなんだからさ』



キャラかぶり
(もの好きなやつ…)
(何か言った?)
(なんでもねぇよ)
 
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