いろいろ

□キャラかぶり
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カッカッカッ



先生が黒板に文字を書く音が教室に響く。

机の中でこっそり手芸をしながら眠さのあまりうとうとする元親に、たまごはデコピンする。

「ぃでっ!!」

元親は額を摩りながら前席のたまごを見る。

たまごは授業中にも関わらず後席の元親を見ている。

「ってぇな…!」

『ねぇチカちゃん』

たまごが元親の顔を覗き込む。

「…あ?」

じーっとたまごに見つめられ、元親は照れてしまう。

「なんだよ、照れるじゃねぇか」

フッ

鼻で笑うな

『でさ、私思ったんだけど』

たまごはそう言いながらまた元親を見据える。

「なんだよ?」

『チカちゃんってみんなとキャラかぶりすぎだよね』



シン。



周りの空気が少し冷めた気がした。

「な、い、いいいきなりなんだよっ…!」

『動揺しすぎだよチカちゃん、プププ(笑)』

地味に腹立つ

『だって、よく考えてみてよ。まずはそれ』

そう言ってたまごは元親の目を見る。

『"眼帯"』

「なっ…!」

眼帯を包み込むようにして隠す元親。

大きな身体で何やってんだ。

『眼帯キャラって政宗くんとかぶってるよね』

「…(確かにそうかもな…っと、いやいや、たまたまだろ)」

元親は軽く頭を振り、そんな考えを消し去る。

『ニつめがヘタレわんこなとこで…』

「おい待て。ヘタレわんこってなんだ」

『ヘタレわんこはヘタレわんこだよ。幸村くんとかぶってる』

「なんだよそれ…」

なんだか腑に落ちねぇ、とつぶやきながらも元親はたまごの次の言葉を待った。

『三つめは"あだ名"かな』

「あだ名…」

『"西海の鬼"ってさ、島津先生の"鬼島津"とかぶってるよね』

そう言ってたまごはチラリと黒板の方を見る。

目線の先には黒板に文字を書く島津先生。

『四つめが゙白髪゙かな!』

「白髪?」

『うん。これも島津先生とかぶってる』

「あれはただの老化現しょビュッ…え?」

黒板のチョークが元親の頬をかすめた。

それはもう、すごい勢いで。

「おぉすまん、手が勝手に動きよったとね」

「イエ、大丈夫デス全然問題アリマセン」

そんな元親を見て小さく笑うたまご。

島津はそんなたまごと元親を交互に見つめため息をついた。

「こげなとこで青春するんじゃなか」

『えっ!?』

「はあ!?」

『だだだ誰がこんなヘタレわんことせせせ青春なんか!』

「…」

慌てふためくたまごと顔を曇らせる元親。

「屋上ば空いとるんじゃなか?」

「!…サンキューな、先生」

『へっ?な、なに…ちょっ!』

元親は島津に礼を言いながらたまごの手首を掴み、荒々しく教室を出ていった。

「青春ばい」

そんな二人を見て島津は小さく微笑んだ。

それはもう…

カーネルおじいさんのように。
 
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