テニプリ

□純情ボーイ
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***たまごside



「たまご、一緒に帰ろー!」

『ごめんね、今日も亮ちゃん待つから…』

「そっか!相変わらずだね〜」

「ほんとにね〜!」

友達に一緒に帰ろうと誘われても、私はそれを断る…

そんなことを亮ちゃんと付き合ってから1年の間、ずっと続けていた。

周りの友達からは公認だし、それを悪く言う子も特にいない。

「たまごも毎回よく待てるね!宍戸くんって居残り練習とかもしてるんでしょ?」

『うん…頑張ってるみたい!』

「夜遅いし帰り危なくない?」

『家まで送ってもらってるし…私は全然平気!むしろ亮ちゃんの練習の邪魔になってないか心配なくらい!』

「謙虚だね…ほんと尊敬する!」

「たまごみたいな彼女ほしいわ〜」

『えぇ!?』

そこからは尽きることなく話が弾んだ。

…所謂ガールズトークってやつ。

「ねぇねぇ」

『ん?』

友達が急に小声で話し始めたかと思えば。

「宍戸くんとたまごってさ、どこまでいったの?」

「あ、それ私も気になってたんだよね!」

『え!?えぇぇええ…!』

なんか恥ずかしいな、こういう話するの。

「もう1年でしょ?ある程度までは…」

『いや全然!全然だよ!?ほんとに!』

ブンブンと顔を横に振りながら言うも、逃さないぞとばかりにガッチリホールドされる。

「どうなのたまご?」

『………て』

「?」

私は声を絞り出して言った。

『手、繋いだ…』

私のその言葉を聞いた友達は一瞬静止し…

「それだけぇええ!?」

『で、デートには行くよ?たまに!』

「ありえない!ありえないよ!」

ものすごい勢いで飛び付いてきた。

『え、え…?』

あたふたする私に友達は先ほどの勢いのまま質問攻めをしてくる。

「1年付き合ってそれだけ!?」

「キスとかしてないの!?」

『ない…かな』

「「えぇえええええ!!」」

『ちょっと!声大きいよ…!』

大きく反応する友達をなんとか制する。

「宍戸くんどんだけ奥手なの…!?」

「たまごはそれでいいの?」

奥手だとかの話はよく分からない。

でも、正直言うと…少し寂しい。

『ちょっと寂しい気もするけど…練習の邪魔はしたくないから、このままでもいいかなって』

「立派だわー…」

デートだって、ほんとにたまーにしかしない。

それでもいいやって思ってたんだけど…

「たまご、一回自分の気持ちちゃんと言った方がいいよ」

『え、でも…』

「宍戸くんも案外、出方が分かんないのかもよ?」

『うぅーん…そうなのかなぁ』

自分の気持ちかぁ…

今まであまり話してこなかったなぁ。

「たまご、宍戸くんの家行ったことある?」

『ないよ?』

即答するあたりがなんというか…

場所は知ってるけど…

入ったことはないんだよね!

「今度、家で一緒に過ごしたら?」

「宍戸くんって周りの目とか気にしそうだもんね!」

『たしかに、それはあるかも…!』

手を繋ぐ時だって、周りを確認してから繋ぐしね!

「今度、宍戸くんの部活がオフの日にやってみようよ!」

『ちょっ…決めるの早くない?』

「いいのいいの!やるなら早い方がいいって♪」

『えぇー!』

なんだかんだ言いつつも、私は私で少し楽しみだという思いもあった。

『わかった…言ってみる!』

私は友達に二つ返事で返した。
 
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