テニプリ
□純情ボーイ
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『亮ちゃん、明日部活オフなんだって?』
今日も遅くまで、俺の練習が終わるまで待っていてくれたたまご。
そんなたまごと足を並べて、今は帰路についている。
「あぁ。ま、自主トレはするけどな」
『そっか…家で?』
「決めてねぇよ」
そうだな、明日はどうしようか。
まずはランニングをして帰ってきてから筋トレして…
『じゃあ、明日亮ちゃんの家行ってもいい?』
「…あぁ!?」
思ったより大きな声が出た。
明日、家に?
たまごが!?
「な、何しに来んだよ?」
『亮ちゃんのトレーニング見に!』
笑顔で答えるたまごに、俺はため息をついた。
「トレーニング見るっつったって…」
『いいのいいの!私が亮ちゃんを見てたいだけだから!』
へへーと笑うたまごに、俺は後ろ手で頭を掻きながら言う。
「知らねぇぞ、暇で仕方なくなっても」
『亮ちゃん見てたら飽きないから大丈夫!邪魔もしないから!ね?』
満面の笑顔で言われては、俺は了承することしかできなかった。
「いいけどよ…」
***
たまごを家まで送り届け、自分も帰宅する。
そして自分の部屋に入り…
「ぬぅああああああ!!」
とりあえず、枕に顔を埋めて叫んだ。
いや、無理無理無理!!
今まで女子を部屋に入れたことなんて一度もねぇし!
ましてや、1年付き合ってるたまごと…き、キスもしたことねぇのに!
そう、実は俺とたまごは付き合って1年だ。
今までしたことあることといえば、デートか手を繋ぐくらい。
手を繋ぐのも、滅多にしねぇけど!
「…ハァ…ハァ…」
思う存分叫ぶと、なんだかスッキリした気がした。
…落ち着け、俺!
ただ、たまごが家に来るだけだ。
トレーニングを見に来るとか言ってたし!
恋人云々の話は関係ねぇ…はず。
「とりあえず部屋片付けとくか…!」
何も変なことはない。
俺は何もしない。