テニプリ
□アンハッピーバレンタイン
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***翌日
『覚っ醒さーれーたー このー体ーがールゥールー♪』
いつになく上がるテンション。
たまごは鞄にチョコを詰め込み、家を出た。
***登校中
キャー…キャー…
登校中に、校門前でたくさんの人混みを見付ける。
人混みの中心には、赤也がおった。
「赤也くーん、受け取ってぇ!」
「何よアンタ!私が先!はいっ切原くん!」
「赤也くん、コレ!G○DIVAのチョコ!」
「伏せ字の意味ないわよ、アナタ」
おぉ、ナイスツッコミ。
これは予想してたし、まぁいっか。
登校中渡そうと思ってたけど、やめとこう。
***靴箱にて
自分の上ぐつを履いて、赤也の靴箱を見てみる。
…うわ、フタ半開きやし。
これも予想してたし、まぁいっか。
靴箱に入れようと思ってたけど、やめとこう。
いつもよりなんだか浮かれた様子の女子たちの間を潜り抜け、教室に着く。
そして、朝練を終えたブン太と仁王を呼ぶ。
『ブン太、仁王〜…うっわ、すごい量のお菓子…』
「お、たまごじゃん」
「プリッ」
たくさんのチョコを抱えて喜んでるブン太。
それに引き替え、仁王は鬱陶しそうにしてる。
『あのさ、赤也にチョコ渡すの…手伝ってくれへん?』
少し控え目に言ってみると、ブン太はこくりと頷いた。
「ん?いいぜぃ!…あ、チョコはそこ置いといてくれる?あぁ、サンキュ」
話してる間もブン太はチョコを貰っていた。
仁王へと視線を移してみると、うっすらニヤけ顔の仁王と目が合う。
「…どうしようかの」
『お願い!』
「たまごの手作りチョコで手を打っちゃる」
仁王のその一言で、彼らにもお菓子を作ってきたことを思い出す。
あかん、赤也のことで頭いっぱいやった。
『あぁ、あるで!これがブン太ので、これが仁王の』
煙をたてている箱をブン太と仁王に渡す。
「あ、ありがと…」
「…ピヨッ」
なんだろ、何か言いたそうやけど…
まぁえぇわ!
ぶんた と におう が なかま に なった!
***休み時間
今は赤也のクラスの前の廊下に立っている。
もちろん仲間のブン太と仁王も一緒にな!
『なんか…教室のドア、ギシギシ言うてんやけど』
「女子の声、すげぇし…」
「…」
「あからさまにイヤそうな顔するなよ、仁王」
『よし、ドア開けるで!作戦は分かっとる!?』
「おぅ!」
「分かっとうよ」
『ほな行くでぇ!せーのっ…』
ガラッ
キャアアアアアア
『うぎゃー!!女子の雪崩が!』
「あ、たまご巻き込まれてる」
『やめてって!ちょっ…うわぁぁああぁあ聞けぇぇぇえ』
「微笑ましいのぅ」
『あかん!ブン太、仁王!一時撤退!』
「「おぅ!」」
『自分らだけ逃げるなぁああ!!』
***昼休み
『あー、コチラたまご。コチラたまご。窓側は異常なし。てか異常すぎるぐらい女子がおる。標的は見えず。どうぞー』
「コチラブン太。廊下側からも標的は見えてねぇ。どうぞー」
「プリッ。天井からは、あのワカメ頭が見えるぜよ」
『そうか…どないする?どうぞー』
「…例の物を投下したらどうだ?どうぞー」
『なるほど…仁王へ。例の物を投下せよ。仁王へ。例の物を投下せよ!』
「了解ナリ」
パカッ(天井のタイルが開く)
ヒュッ(投下)
コロン…(床に転がる)
「ん?何だコレ?」
「赤也くん、どうしたの?」
「何か降ってきたんだよ、コレ」
「なんかぁそれチョー爆弾ってカンジぃwwwいかにもーみたいな?www」
「確かに…あ、何かカウントダウンしてる」
ピッピッピッ
「…たまご、ブンちゃん、おるかの?」
『コチラたまご。おるで、どうぞー』
「コチラブン太。俺もいるぜぃ?…どうかしたのか?どうぞ」
「…間違えて爆弾投下してしもた」
チュドォオオオン
校舎中に爆破音が響き渡った。
***最後の休み時間
赤也の教室前にて。
『あー、コチラたまご。コチラたまご。窓側は以上なし。てか以上すぎるぐらい女子がおる。標的は見えず。どうぞー』
「コチラブン太。廊下側も以上なし。標的は見えてねぇ。どうぞー」
「プリッ。天井からは、あのワカメ頭が見えるぜよ」
『そうか…どないする?』
「…例の物を投下したらどうだ?」
『なるほど…仁王へ。例の物を投下せよ。仁王へ。例の物を投下せよ!』
「了解ナリ」
パカッ(天井タイルが開く)
ヒュッ(投下)
ガコッ(赤也の頭にぶつかる)
「任務完了ナリ…」
「痛っ!」
「ん?どうしたの赤也くん?」
「次は何だよ、もー…箱?」
「ぅっわー何その物体〜wwバリウケwwwチョーダサいんだけどぉ〜www」
「そんなの置いといて、はいっ赤也くん、G○DIVAのチョコだよっ」
「塚、伏せ字の意味なくね??鬼カオスなんだけどぉwwサゲポヨ〜↓↓」
「…お前の喋り方、ウザウザーよりうぜぇ…まぁいいか…」
ポイッ
仁王が投下した箱、つまりは私の手作りチョコを…
赤也は投げ捨てた。
『!』
「あー…たまご…?」
マイク越しにブン太の控えめな声が聞こえる。
『て、撤退!二人とも、教室で会おう!』
身に着けとったインカムやマイクを投げ捨て、私はその場を去った。