テニプリ

□One Love
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「そういえば、学食の新メニュー食った?」

『食べてないなぁ…向日くんは食べたの?』

「おう、今日食ってみたんだけどよ。その味がもうさー…」

私達は話題に困ることなく話し続ける。

向日くんと居ると、なんだか心地良い。

「んで、その時ジローのやつ丼ぶりに顔突っ込んで…あ、わり」

『あ、うん』

まただ。

並んで歩いているせいか手が触れ、その度に向日くんが軽く謝る。

嫌な気持ちにはならなかった。

むしろ、繋ぎたい…なんて思ったりして。

あ、また触れた。

『じゃあ私も今度食べてみようかなぁ?』

「おう、オススメだぜ!」

こんなに触れるってことはたぶん、距離も意外と近いんだろうな。

顔を上げる勇気はないけれど。

「…今度、一緒に食いに行く?」

『えっ』

顔を上げる勇気はないなんて言ったけれど、私は思わず向日くんの顔を見る。

やっぱり、結構距離が近かった。

向日くんは目を逸らしている。

不器用なりに誘ってくれてるのかな。

…嬉しいな。

『絶対行く!はやく食べたい〜!』

「よっしゃ、決まりな!」

『うん!』

私が笑顔で頷くと、向日くんは足を止める。

振り返れば、そこはもう私の家のすぐ近くだった。

送ってくれる時はいつも、ここまでだ。

「じゃ、気ぃつけて帰れよゆで!」

『家そこだし大丈夫だよ。送ってくれてありがとうね!』

「あぁ。んじゃ、また明日な!」

『うん!気を付けてね!』

軽く別れの挨拶を交わし、向日くんの姿はすぐに見えなくなった。

『…ふふっ』

新メニューが、楽しみだ。



One Love
(一つの愛が、ここに)

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