テニプリ

□One Love
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「もうすぐテスト期間か…はぁー…」

『向日くん今回のテストどうなの?』

「やべーかも…侑士に教えてもらわねぇと」

向日くんと並んで歩く帰り道。

いつも向日くんがテニス部のことを話してくれるおかげで、だいぶテニス部のメンバーの知識は得た。

…なんて思っていると。

隣に並んでいる向日くんの右手が、一瞬私の手に触れた。

『!』

「あ、わり」

『う、うぅん!全然!』

なんだろ、手があつい。

ついでに顔もあつい。

なんだ私のこの反応は。

女子か!

あ、女子で合ってた。

なぜか焦ってしまう自分に驚く。

手が、触れただけなのに。

『暑いね、喉乾いちゃった』

顔が赤いのを誤魔化すために私は自分の鞄から飲み物を取り出して口に運ぶ。

『ぷはぁ、ちょっと生き返ったかも』

「まじ?それ、冷たいやつ?」

『うん、そうだよ!』

「じゃあ、ちょっとくれよ」

『えっ?』

向日くんが私に向かって手を差し出してくる。

身長は男子にしては小柄な方なのに、手は思ったより大きいみたい。

ところどころ怪我やマメがある。

『(この手でいっぱい練習してきたんだな…)』

「おーいゆで?嫌だったか?」

『あ、うぅん!えっと…はい』

おずおずと飲み物を差し出すと、向日くんはサンキュ、と言ってそれを受け取り、口を付けて…

ん?

口を、付けて?

『(か、か、間接キス…!!)』

「っあー!冷えててうめぇなコレ!…って、おい…ゆで?」

『ふあい!?』

突然下から覗き込まれ、私は驚き小さく跳ねる。

「ははっ、変な顔」

『変な顔って…失礼な!』

「おー、怒んなよ、口が滑ったんだって

それフォローになってないし!

向日くんのばか、と心内で呟き、私は足をスタスタと前へ進めた。
 
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