テニプリ

□One Love
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「ゆで、一緒に帰ろうぜ!」

『向日くん?』

帰り支度をしていた私の目の前にふと影が差した。

顔を上げてみれば、そこに居たのはクラスメイト向日岳人くん。

新学期早々、偶然帰りが一緒になって家まで送ってもらった。

それ以来向日くんは用事のない日はほとんど毎回、一緒に帰ろうと声を掛けてくれる。

今もこうして、決まり事のように誘ってくれている。

『今日部活ないの?』

「あったら俺こんな時間に帰れねぇよ」

『そ、そうだよね!』

あははと笑う私に向日くんは軽くため息をついた。

うわー、ため息なんてつかれちゃったよ。

私は席を立って鞄を持つ。

「帰るだろ?」

そ、そんな言い方されたら…

『うん、帰る』

断ることなんてできないよ!

いや、別に断る理由なんかないけどさ!

むしろ嬉し…おっと、タダじゃ聞かせてやらねぇぜ(ハードボイルド)

げふんげふん。

あ、向日くんが不思議そうな顔してる。

「じゃあ行こうぜ!」

『う、うん』

クラスメイトから視線を感じてなんだかいつも恥ずかしい気分になってしまう。

あぁ、また明日みんなにからかわれるんだろうな。

向日くんと帰るのは楽しい。

楽しい…けど…

向日くんはどうなんだろう。

私以外にも一緒に帰る人なんて、向日くんならいっぱい居るだろうに。

向日くんは私と帰る時、どんな気持ちなのかな。
 
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