テニプリ

□素直になれなくて
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『あ!そ、そういえば…何で不二くんが…こ、こここ、ここに?』

うわ、ドモッた。

最悪だ!

恥ずかしい!

「君に会いたかったからね。だめかな?」

そう言って私の髪に指を絡めてくる。

『…き、きもちっ…』

「え?気持ちいい?

黙ってくれる?

゙気持ち悪い゙と言おうとしたとき、裕太くんの言葉が頭の中で蘇った。



゙毎回思ってもないことを言って、兄貴を傷付けてます!゙



『…』

私の行動って、不二くんを傷付けてるの…?

そう思うと、不二くんを拒否するなんてできなかった。

「…いつもみたいに突き放さないの?」

不二くんは不思議そうな表情をしたけれど、すぐにいつもの笑みを浮かべた。

『…突き放してほしいの?』

「まさか」

何で私ってこんな言い方しかできないんだろう。

なんて思ってる間にも、不二くんは私の髪に指を通す。



゙そうですね…やっぱり意地張りすぎているところですね!゙



意地、張りすぎ…か…。

まぁ自覚してるけど。

なんて考えていると

「僕はどんなたまごでも愛してるからね」

そう言って不二くんは私の髪に指を絡め、顔をうずめてくる。

『…っ!』

なんか、すっごく恥ずかしい。

「耳まで真っ赤にして…本当、食べてしまいたいよ」

…あ、鳥肌。(二回め)

『…』

何て言おうかと迷っていると

「そういえば…」

不二くんが口を開いた。

『なに?』

「どうしてたまごはいつも顔が赤いの?僕と話すとき限定で…ね?」

そんなの、決まってる。

私は不二くんのことが…。

でも、私はいつも素直になれない。

いや、言え、言うんだたまご…!

『…き………です…』

喉から絞り出す声が震える。

「ん…?」

不二くんは耳を寄せてくる。

拒絶反応です

不二くんを突き放して顔を背けながら言った。

あぁもう。

こんな態度じゃ嫌われる。

そう思った瞬間、

「素直になれない君が好きだよ。僕は全部分かってるから。安心して?」

『!』

不二くんは私を胸に優しく閉じ込めた。

そしてゆっくりと頭を撫でてくる。

『………ぅ…』

「泣いているのかい?」

『泣いてないよ!』

というのは、半分嘘。

涙は出そうになったけれど出てはいない。

出てくる寸前のところで我慢した。

『…ありがとう、不二くん』

私はそう言って不二くんの胸に頭を預ける。

「たまごが僕を好きなんて…夢を見ているみたいだよ」

好きとか一言も言ってから

「フフ」

暴言を吐く私の背中を不二くんは一撫した。

ベンチの裏の木陰で、裕太くんは苦笑いしながらクッキーを頬張っていたらしい。



素直になれなくて
(たまごが僕を好きだなんて)
(そんなの昔から知っている)

***あとがき

不二がデレデレすぎる。
魔王じゃない不二がほしかった。
 
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