テニプリ
□ヘリクツカレシ
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『うぅーん、うぅーん…』
只今、たまご先輩は休憩中だ。
正しくは、休憩せざるを得ない状態なのだが。
『やっぱアイス食べ過ぎた…』
「だからひとつでやめておけと…」
『だってだって!美味しそうやってんもん!食べたかってんもん!』
「騒ぐと余計しんどいですよ」
『うぅ…』
素直に黙るたまご先輩。
ほんの一瞬。
本当に少しだけ可愛いかもしれないなんて思った。
勉強をしつつも少し集中力に欠け始めたたまご先輩のため、気分転換にとアイスを部屋へ持って来たのが間違いだった。
家にあったアイスは種類が様々で、どれが好みなのかよくわからなかった俺。
俺はそのままアイスを全て部屋に持って来て、たまご先輩に見せた。
すると
"アイスやぁぁあぁああぁ!!"
と、俺に飛びついて来て、そのままぺろりぺろりとアイスを平らげた。
その姿はまるで獣のようだった。
そして、そろそろ勉強しようとした頃にたまご先輩が苦しみ出したのだ。
頭がキーンとする、胃がキリキリする、腸がバタバタ暴れてる、と。
原因は分かりきっているのだが、体調不良ならどうしようもない。
そこが俺の部屋であったがために、この変態に俺のベッドを提供したまでだ。
『ハァ…ハァ…』
現にたまご先輩は苦しそうにしている。
『スゥ…ハァ…スゥ…ハァ…ハァ…ハァ…!』
「体調不良の息の粗さに紛れて匂いを嗅ぐな変態」
今すぐ追い出してやりたい。
でもこの人は動かないんだろうな、そこを。
頑固だからな。
『あったかくて前からも後ろからも日吉くんのにおいがして…なんか…』
「…?」
『日吉くんに抱き締められとるみたい』
「妄想も大概にしてください」
誰が抱き締めるか。
俺を見て小さく笑うたまご先輩。
「体調…マシになりましたか?」
『だいぶ!日吉くん、心配してくれてるん?』
「…まぁ」
心配するのは人として当然でしょう?
(本当に馬鹿な人)