テニプリ

□ヘリクツカレシ
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「…」

『ん〜…』

たまご先輩はテスト勉強、俺は読書。

そんな雰囲気で話すこともなく、俺の部屋には沈黙が流れていた。

氷の入ったグラスが、カランと音を立てて溶け始める。

「…」

ちらりとたまご先輩の顔を盗み見てみると、とても真剣な表情で問題集を見ていた。

なんだ、この人はこんな顔もできるのか。

いつもはふざけているくせに、授業中はいつもこんな雰囲気なのか…?

ふとした瞬間に、たまご先輩が顔を上げ、目が合う。

「っ!」

俺は勢い良く目を逸らし、手元の本に視線を向ける。

これじゃあ俺がたまご先輩のこと見つめていたみたいじゃないか。

ない、絶対ない、こんなアホな先輩なんて、視界にも入れてやらない。

一方たまご先輩はというと、ニヤニヤと笑みを浮かべながら俺の顔を覗き込んでくる。

…視界に入れないと言ったところなのに、少しは空気を読んで欲しい。

『どないしたん日吉くん!そんなに見つめられたらたまごちゃん照れてテスト勉強できへんわぁ!』

追い出されたいですか?

黙ります

小言を言いながらもたまご先輩がノートに向かうのを確認して、俺も本に目をやる。

『なぁなぁ日吉くん、ここ分からんねんけど…』

「どこですか…」

ここ、とノートを指差すたまご先輩に軽く説明してやると、難しそうな顔をされた。

他に分かりやすい説明の仕方がないかと考えていると、たまご先輩は突然顔を上げた。

『あ、わかった!』

そしてその瞬間またもや目が合う。

それも、こんな…至近距離で。

「…っ」

みるみるうちに自分の頬が熱くなっていくのがわかる。

『日吉くん、顔赤いで?』

「別に…!」



この部屋が暑すぎるんです
(アイスでも持ってくるんで大人しく勉強しててください)
(よっしゃやったるでぇぇぇ!!)
 
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