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□ヘリクツカレシ
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ピンポーン



インターホンの音が家中に響く。

リビングで読書をしていた俺は本を閉じ、印鑑を持って立ち上がった。

今日は郵便物が届く予定だからな。

そんなことを思いながら玄関に出る。

「はい」

ひぃぃーよっしくん!あぁーそぉーぼぉっ!



…バタン。



『ちょっと待って待って待って!何で閉めるん!?』

外から扉をすごい勢いで引っ張ってくるのはゆでたまご。

部活の先輩、もといマネージャーである。

『日吉くんひどいって!開けてや!』

お引き取りください

『なんでよ〜!』

一枚の扉を引っ張り合いながら言い合いをする。

そのまましばらく時間が経つと先輩は諦めたのか、扉から手を離したようだ。

自分も、おそるおそる扉から手を離す。

その瞬間、先輩の声が扉の向こうから聞こえた。

『ほんまに用事があって来たんやで!助けてほしくて!』

必死な声のたまご先輩。

「なんですか、用事って…」

少し扉を開けてたまご先輩の様子を伺う。

するとたまご先輩は何やら鞄を漁り、次に本を俺に見せ付ける。

数学教えて

先輩のプライドとかないんですか

『ないわそんなもん!テストほんまに危ういねん、お願い!』

そう言ってたまご先輩は固く目を閉じて手を組み、懇願してくる。

「大体、数学なんて公式覚えるだけじゃないですか。どこに教える必要が…」

『教科書もノートもややこしくていまいち理解できんくて』

「同級生に教えてもらえばいいじゃないですか」

『と、友達おらんねん!断じて日吉くんの家に転がり込みたいとか思ったわけじゃなくて!友達おらんねん!!』

本音漏れてますよ

はぁ、と俺はため息をつく。

『えぇやん、日吉くん数学好きなんやろ?』

誰からの情報なんですか、それ。

不貞腐れたようなたまご先輩に、俺はため息をつく。

「さっさとやりますよ」

俺は玄関の扉を開けた。



好きとか嫌いとかの問題じゃありません
(面倒なことを押し付けられた)
 
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