テニプリ

□切原赤也の葛藤
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いつもの平日の朝。

いつものように起きて、

いつものように駅まで歩いていたら…

『赤也、おはよう』

「たまご先輩!」

偶然、たまご先輩と会った。

「先輩がこの時間に登校なんて珍しいっすね!」

俺はいつも授業開始ギリギリ、もしくは少し前の時間に学校につく。

今日は授業開始の少し前に学校に着くように家を出たから、歩いてても平気だ。

でも、いつもたまご先輩はこの時間すでに学校に着いているはず…

『あぁ、これを忘れて家に取りに戻ってたんだ』

そう言ってたまご先輩は手に持っている英語の本を俺に見せる。

「うげっ…朝からよくンなもん見れますね」

『ちょっと英語頑張りたいなって!』

へへ、と笑うたまご先輩には素直に感心した。

さすが、俺の大好きな先輩。

学校までまだ道のりはある。

今はこの幸せな時間を、誰にも邪魔されたくない。

一緒に登校できるだけで幸せだ。

『あっあれってもしかして…!』

急に駆け出したたまご先輩。

その後を俺も走って追いかけてみた。

「たまごせんぱ………げっ」

『蔵兎座!』

ぱあぁっと効果音がつきそうな勢いでたまご先輩はウザウザーに話し掛ける。

しかも、英語で。

あれ、なんか俺泣きそう。

なんで朝からウザウザーと会わなきゃなんねーんだよ!

せっかくたまご先輩とニ人きりでラブラブ登校中だったのによぉ!

『Good morning!(おはよう!)
Long time no see!(久しぶり!)
Do you remember me?(私のこと覚えてる?)』

「Oh…Well………"たまご"?(あー…えーと…たまご?)」

『わぁ!私の名前言ってくれる時、ちょっと流暢だった!えへへ嬉しい!ねぇねぇ赤也聞いた!?』

「いや『Why is there you here?(なんでここに?)』」

俺ほんとに泣きそう。

キラキラとした表情で話し掛けるたまご先輩の質問に対して、ウザウザーは困ったような様子だった。

何か知られちゃまずいことでもあんのか?

「Uh…Let me see…(あー…えーと…)」

「たまご先輩、そいつ危ないっ すよ!」

ちょっと赤也静かにしてて

うぃっす

たまご先輩に静かにしろと言われたんじゃあ、黙るしかねぇ…。

何か怪しい会話してねぇか、俺も聞き取って確かめてやる。

「I'd rather not say…(あまり言いたくないけど…)」

さ、さっそく分かんねぇええぇええ…!!

いや、落ち着いて考えろ。

大丈夫だ、英語の授業毎回寝てる俺なら…

だめじゃねぇか

そうだ、たまご先輩の言葉なら聞き取れるかも!

に、日本人だしな!

『Ah-h?(ん?)』

アハーン…だと…!!?

たまご先輩が男を誘って る…!?

いや、たまご先輩に限ってそんなことは…!

「I came to watch you.(君たちの偵察に来たんだ)」

アイ…ケィム…トゥー、ウォッチ ユー…

ケィムということは過去形…だから、"来た"…

わたし 来た 見る あなたを…

ん、待てよ?

私はあなたを見に来た…?

こいつはわざわざ名古屋から、たまご先輩に会いに来たのか…!?

『Really?(本当?)』

たまご先輩は驚いた表情だった。

そ、そりゃあ驚くよな。

こんな朝っぱらから…わざわざ名古屋から来てくれたら。

『Are you interested in our team?(私達のチームに興味を持ってくれたんだ?)』

アーユーインタレスティッド…?

あなたは 面白かった…?

だめだ、わかんねぇ。

「Yes,That's right.(あぁ、その通りだ。)
But this matter is a secret,okay?(でもこのことは秘密にしておいてくれないか?)」

あぁもうっ!!

ウザウザー話すの早ぇんだよ!

イェスしか聞き取れなかったぜこの…くっそ!!

『…Okay.(わかったよ)』

そう言ってたまご先輩は苦笑いしていた。

…わかった。

とりあえず、危ない話をしているのは、わかった。
 
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