GO-ON!!

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夜の病院と言うのはなんとなく、それらしい雰囲気が出るものだ。

ちょっと怖い。

切島くん、轟くん、そして私の三人は病院前で待機していた。

『(ヤオモモも緑谷くんも、来ないな…)』

私が顔を伏せたその時、病院の扉の開く音が聞こえる。

顔を上げると、そこに立っていたのはヤオモモと緑谷くんだった。

『ヤオモモ…緑谷くん…!』

「…八百万、答え…!」

切島くんと私の勢いに、ヤオモモは目線を逸らす。

そして彼女がゆっくりと口を開いた。

「………私は…」

「待て!」

突然聞こえてきた声に、私達は揃って振り返る。

「飯田…」

「『飯田くん…』」

飯田くんはこちらに向かってずんずんと歩いて来る。

「何で…何でよりにもよって君達なんだ…俺の私的暴走を咎めてくれた、共に特赦を受けた君達二人が、何で俺と同じ過ちを犯そうとしている…!?あんまりじゃないか!」

「…何の話してんだよ…?」

小首を傾げる切島くんの肩を轟くんが掴み、その場に留める。

正直私にも何の話か分からないが、緑谷くん、轟くん、飯田くんというメンバーを踏まえて考えると、職場体験中の保須事件が思い浮かんだ。

「俺達はまだ保護下に居る。只でさえ雄英が大変な時だぞ、君等の行動の責任は誰が取るのか分かってるのか!?」

「飯田くん、違うんだよ!僕等だって、ルールを破って良いなんて…」

飯田くんを宥めようとした緑谷くん。

そんな緑谷くんの顔面を、飯田くんは思い切り殴った。

『!緑谷く…』

「俺だって悔しいさ!!」

飯田くんの声に、私は緑谷くんの元に駆け寄ることが出来ずにその場で固まった。

「心配さ、当然だ!俺は学級委員長だ、クラスメイトを心配するんだ!爆豪くんだけじゃない!君の姿を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!君達が暴走した挙句、兄のように取り返しの付かない事態になったら…!?僕の心配は、どうでもいいって言うのか!?」

飯田くんが勢いに乗ったまま、緑谷くんの両肩を掴む。

「僕の気持ちは…どうでもいいって言うのか…!?」

「飯田くん…」

しんみりとしてしまった雰囲気の中、轟くんが口を開いた。

「…飯田。俺達だって、何も正面切って勝ち込む気なんざねェよ」

「…!?」

轟くんの言葉に、今度は飯田くんが首を傾げる。

「戦闘無しで救け出す」

「要は隠密活動!それが俺等卵の出来る、ルールにギリ触れねェ戦い方だろ!?」

『それしか思い浮かばなくって…』

私は飯田くんに苦笑して見せた。

「私は轟さんを信頼しています…が!万が一を考え、私がストッパーとなれるよう…同行するつもりで参りました」

「八百万くん!?」

「八百万!」

『ヤオモモ!』

切島くんと私は顔を見合わせた。

『(ヤオモモが一緒に来てくれるなら心強い…!)』

今度は緑谷くんが静かに口を開いた。

「僕も自分でも分からないんだ。手が届くと言われて、居ても立っても居られなくなって…救けたいと思っちゃうんだ」

飯田くんは緑谷くんの言葉を聞いて、小さく呟いた。

「…ならば俺も連れて行け」

「「『!?』」」

飯田くんからのまさかの申し出に、私達は驚いた。
 
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