GO-ON!!

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昨日から続く雨のせいで、私は登校中に滑って転んでしまった。

その時たまたま近くに居た雄英の男子生徒が手を貸してくれてた上に、制服に付いた泥や雨水等を払ってくれたのでとても感謝した。

お礼言う前にハンカチ握らされて、そそくさとどっか行っちゃったけど。

あ、名前聞くの忘れた…!

これじゃあハンカチをどうやって返せば良いのか分からない…。

私は膝と手のひらを大きく擦り剥いたため、教室に着いてすぐに自身に"個性"を使った。

そのため机に伏せて仮眠をとっている。

「超声掛けられたよ来る途中!」

「あ、俺も!」

がやがやとみんなが話していると、ガラッと音がして徐々に静かになる。

相澤先生が来たらしい…

私はゆっくりと身体を起こす。

「おはよう」

「「『おはようございます!』」」

顔を上げて相澤先生の顔を見ると、体育祭の時のぐるぐる巻きの包帯が無くなっていた。

私は安堵の溜め息をつく。

『ほっ…』

「相澤先生包帯取れたのね、良かったわ…」

「婆さんの処置が大袈裟なんだよ。んなもんより今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ」

「「『(きた!)』」」

私達は思わず身構える。

「"コードネーム"…ヒーロー名の考案だ」

「「『胸膨らむヤツきたぁぁあ!!』」」

テンションが上がり全員で叫んだ瞬間、相澤先生が目を光らせ、私達は全員静まった。

「と言うのも、先日話した"プロヒーローからのドラフト指名"に関係してくる。指名が本格化するのは、経験を積み即戦力として判断される二、三年から。つまり今回一年のお前等に来た"指名"は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことも良くある」

「大人は勝手だ…!」

相澤先生の説明を聞いて峰田くんが机を叩く。

「頂いた指名がそのまま自身へのハードルになるんですね!」

「そ。で、その集計結果がこうだ」

モニターに映し出される集計結果に目をやる。

「例年はもっとバラけるんだが、二人に注目が片寄った」

集計結果は一位轟くん、二位爆豪くん…と、体育祭の結果とは逆転していた。

『(あ、私にも少し指名来てる…!)』

正直、一戦目の障害物競争しか参加してないのにな…

やっぱこの"個性"が珍しいからだろうか。

「だー、白黒付いた!」

「見る目無いよね、プロ!」

「一位二位逆転してんじゃん」

「表彰台で拘束されたヤツとかビビるもんな…」

「ビビってんじゃねーよプロがぁああ!!」

爆豪くんの怒声に私は苦笑した。

「…流石ですわ、轟さん」

「ほとんど親の話題ありきだろ」

「わぁああ!」

「うむ」

「緑谷、無いな!やっぱ怖がられたんだ…!」

「んん…」

みんなそれぞれ喜んだり落ち込んだりしている。

それを見て相澤先生はまた口を開いた。

「この結果を踏まえ、指名の有無に関係無く、所謂職場体験ってのに行ってもらう」

「職場体験?」

「お前等は一足先に敵との戦闘を経験してしまったが…プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練をしようってこった」

「それでヒーロー名かぁ!」

「俄然楽しみになってきたァ!」

みんなはわくわくしている。

「まァそのヒーロー名はまだ仮ではあるが、適当なもんは…」



ガラッ



「付けたら地獄を見ちゃうよ!」

「「うほほぉっ!」」

上鳴くんと峰田くんが頬を染める。

「この時の名が!世に認知されそのまま!プロヒーローになってる人多いからね!」

「「『ミッドナイト!』」」

なぜかポーズを決めながら入室して来たミッドナイトは今日もナイスバディだ。

「…まァそういうことだ。そのへんのセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうの出来ん」

聞く話によると、相澤先生のイレイザーヘッドというヒーロー名は、学生時代にプレゼント・マイクに付けてもらった名前をそのまま採用したらしい。

「将来自分がどうなるのか…名を付けることでイメージが固まり、そこに近付いていく。それが"名は体を表す"ってことだ。"オールマイト"とかな」

相澤先生はそう言葉を残して、睡眠の体勢に入った。

ここからはミッドナイトにバトンタッチするようだ。
 
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