ヒロアカ

□触れた手、熱い指
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『わーほんとだ、凄いね!アジアンな感じ!』

改めて、俺の部屋に入ったゆでは室内をぐるりと見渡している。

やべぇ、なんかいきなり緊張してきた。

「へっへー、どーよ?」

『オシャレ〜!』

「オシャレだろ!」

『オシャレ〜!!』

変に緊張して、内容の無い会話を続けてしまう。

やべ、これじゃゆで、すぐ帰っちまう。

もっと話してェのに。

何か無いか、何か…

『うわ、これってハンモック!?』

ゆでの声にハッとする。

声のした方を見てみると、ゆでは部屋の中央辺りに置いてあるハンモックを眺めていた。

「あ…あぁ、それな!そうだぜ、ハンモックだ」

『ハンモック使ってる人初めて見たよ〜!しかもこれ自立式じゃん!』

わぁ〜と声を漏らしながら、ハンモックを触るゆでがなんかもうマジで可愛い。

「座ってみっか?」

『え、良いの!?』

「んなトコ、ケチんねーよ」

俺はゆでに苦笑して見せる。

『じ、じゃあ…失礼します』

言いながらゆではハンモックに手を付いた。

『…』

「…」

『ねぇ瀬呂くん…』

「ん?」

これ破れたりしないよね?

お前ハンモックを何だと思ってんだ

まぁ最初は怖いもんなのか。

布が宙ぶらりんな状態だもんな。

『…』

ゆでは少し俯いている。

「ん、もしかして…こえーの?」

『怖いとかじゃないけど。なんか新鮮だからさぁ』

「しゃーねェなぁ〜…」

中々ハンモックに腰掛けようとしないゆでを見兼ねた俺は、後ろ手で頭を掻いた。

そして…

「ん!」

『わっ…』

俺は自然にゆでの両手を取った。

「俺が支えててやっから、ちょっと座ってみ?」

自身の手の中に収まるゆでの手を見て、我ながら大胆だなぁなんて思う。

『あ、う、うん。ありがと…』

ゆでは言いながら、ゆっくりとハンモックに腰掛けた。

『わぁ、破れない…!良かった…!』

「(ゆでの手、ちっせェな…俺の手の中にすっぽり収まってる…)」

『?…瀬呂くん?』

「(触り心地も気持ち良い…女子ってスゲー…)」

『…』

「(もっと触ってみてェ〜…柔らかそ〜…)」

『せ、瀬呂くん!』

「んぁ?」

少し上擦ったゆでの声に顔を上げる。

やべぇ、ぼーっとしてた。

俺が顔を上げると、顔を赤くしたゆでと目が合った。

あまりにも手の感覚を楽しみ過ぎていたみたいだ。

そんなゆでの顔を見て、俺はまたハッとする。

「あ、ワリ」

『う…うぅん』

俺はパッと手を離した。

やべぇ、変な風に思われたか…?

もっとゆでに触れていたかった…けど!

「(とりあえず、なんかフォローしねェと…!)」

俺が必死に脳を回転させていると…

『瀬呂くん、手おっきいね』

ゆではこちらを見て、照れたように笑っていた。
 
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