ヒロアカ

□ハジマリの日
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朝。

共に起床した私達。

軽く朝食を食べ終えた今、勝己くんは制服の袖に腕を通している。

そして私はそんな勝己くんを、ぼーっと眺めていた。

勝己くんは今から受験に行くんだ。

『(…行っちゃうんだ、雄英に)』

今は学ランだけど、四月からは雄英のブレザーを着るんだ。

『(…寂しい、な)』

受かってほしいけど実際受かったら寂しいという、矛盾してしまう自分の気持ちを抑え込もうとしていると…

私の視線を感じたのか、顔を上げた勝己くんと目が合った。

「…あ゙?なに見てんだコラ」

ヤクザかな?

「あぁん!?誰がヤクザだボケコラぶっ飛ばすぞ!?」

朝から威勢の良い勝己くんはこちらに向かって手を構える。

『ちょい待ち!ほら、今から受験なんだし体力温存しとかなきゃ!私なんかに個性使ってたら勿体無いって!』

爆破されたくない一心で私は必死に言い訳を並べる。

『そ、それよりもうこんな時間だよ?そろそろ行く時間でしょ?』

「…あぁ」

上手く話を逸らせたようで、勝己くんは構えていた手を降ろしてくれた。

そしてその手は学生鞄を掴む。

そろそろ本当に勝己くんの出発の時間だ。

『ウチに忘れ物無いよね?』

「あぁ」

忘れ物の確認をしながら玄関まで二人して歩いて行く。

『うわぁ、ちょっと冷えるかもね、今日…』

「かもな」

朝だから余計に気温が低いようで、私は少し身体を震わせた。

『…あ!』

靴を履く勝己くんを見ながら、私はひとつ閃く。

私は慌てて自室に戻り、とある物を掴んで再び玄関へとやって来た。

『勝己くん、これ!』

「…あ?」

靴を履き終えて振り返った勝己くんの首元に巻いたのは、私が普段使いしているマフラー。

私はそれを手際良く結ぶ。

『うん…女性用だけど全然違和感無いし、むしろ似合ってる!流石勝己くん』

「…余計なお世話だっつーの」

は?とか要らねェ!とか突き返されるかとも思ったけれど、勝己くんは意外にも受け入れてくれた。

『"合格しますように"って気持ち込めといたから。勝己くん、頑張ってね』

「…ハッ。合格以外、ねェわ!」

勝己くんは、私に背中を向ける。

『行ってらっしゃい!』

「おう」

扉が閉まる前に見えたのは、私の大好きな、自信に満ち溢れた彼の大きな背中だった。



ハジマリの日
(受かった)
(え?…おめでとぉおおおお!!流石勝己くん、やったね凄いね嬉しいよ〜!!)
((この前の寂しげな顔は何だったんだよ!!))

***あとがき

アニメ一期を見直しながら、爆豪のマフラー姿見て色んな妄想しました…←
あの色とあの巻き方、爆豪本人のチョイスだったら更に萌えます、悶えます。

とこたん。
  
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