ヒロアカ

□GIRLS DAY
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あの後、上鳴に謝らせたり、爆豪のせいかと聞いてみたり、切島に元気付けさせようとしてみたけれど、全て無駄に終わってしまった。

上鳴は軽くあしらわれ、爆豪はキレてどこかへ行ってしまい、切島は話し方が熱血過ぎて見ているこっちがしんどくなった。

そしてすっかり夜になった今。

寮の共同スペースで上鳴、切島、俺の三人は話し合っている。

話の内容はもちろん、ゆでの様子についてだ。

「だぁーっ!もう何やってもダメなやつだろこれ!」

上鳴が頭を抱えて叫ぶ。

「つーか瀬呂、見てるだけじゃなくてお前も何かしろよ!」

「いやー。瀬呂くんはねぇ、思うことがあるんだよ」

「「思うこと?」」

上鳴と切島が小首を傾げる。

やめろ、お前等がやっても可愛くねぇ。

「ゆで、風邪なんじゃねーの?」

「あぁ〜…!」

「なーる〜…!」

俺の考えに、上鳴と切島は納得したようだ。

「言われてみれば確かにダルそうだったし、元気無かったな…」

「ん〜…でも咳もくしゃみもしてなかったし、熱っぽい感じでもなさそうだったぜ?」

「あー、確かに…」

確かに切島の言う通りだ、風邪っぽい症状はなかったっぽい。

体調不良の類かと思ったんだけど。

でも、じゃあマジで何なんだっつー話だ。

「もう本人に聞くしかなくね?」

「いや、俺聞いたけど、"何でもない"とか"気にしないで"とか言われたぜ?」

「俺達には言いたくねェってことか…」

「「「うぅーん…」」」

三人寄れば文殊の知恵なんてことわざがあるが、俺達が考えても考えても正解は分からなかった。

「あ、爆豪!」

切島の声に顔を上げる。

何か飲み物を取りに来たのか、爆豪がちょうどやって来るところだった。

爆豪はキッチンの方へと歩いて行く。

「爆豪助けてくれ!」

「俺等じゃどうしようもねェんだ!」

「あ?」

「ゆでの様子がなんかおかしンだよ今日〜…」

「…」

俺達の言葉に爆豪は特に返事はせずに冷蔵庫を開け、ゴクゴクとペットボトルの水を飲んでいる。

そして何やら鍋に火を点けているようだ。

「今日俺等さぁ、超頑張ったんだぜ〜?でも何でダルそうなのか聞いても結局教えてくんねーしぃ…」

「ま、風邪じゃねェみてーだし…案外、寝て起きたらケロッとしてっかもな〜」

「明日また様子見るか?」

「んー、それが良いか…爆豪どう思う?」

切島の声に、上鳴と俺は揃って爆豪の方へと視線をやった。

爆豪は鍋をひと混ぜした後に火を消し、マグカップに何かを注いでいる。

「なんかいいにおい…爆豪、夜食か?」

「飯テロだ〜!!」

「うっせェなァ!!」

辺りにふんわりといいにおいが漂う。

この優しいにおいは何だろうか。

考えている間にも爆豪はマグカップを持って、共同スペースを出て行こうとする。

「流石に爆豪も分かんねェよな。考えてもキリねェし、とりあえず今日はこの辺にしとくか!」

「あぁ!」

「そうだな!」

切島の声に、上鳴と俺は頷いた。

「…いっかい」

共同スペースの扉を開けながら、爆豪がぽつりと呟く。

「「「?」」」

「…月に一回、女子にはそういうんが来るんだろ」

俺等が何を言うより先に、爆豪は扉を閉めて部屋を出た。
 
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