ヒロアカ

□窓際のパンジー
2ページ/3ページ




しばらく抱き合った後、私達はゆっくりと身体を離した。

『ほんと…毎回無茶し過ぎだよ…』

「僕のことは良いんだ。それよりも守れた人が居て、本当に良かった」

出久くんが自身の拳に視線を落とす。

ヒーローに憧れる彼にとって、人を敵から守れたならそれは本望なのだろう。

『でも、こんなになってるじゃん…いつもおっきい怪我してるじゃん…!』

私はまた彼の手を取る。

『私はもう、傷だらけの出久くんを見たくないよ…胸が痛い…苦しいよ』

少し泣きそうになりながらも、涙を堪えて、じっと出久くんを見る。

すると出久くんは私の頭をゆっくりと撫でてくれた。

それが気持ち良くて私は目を閉じる。

「たまごちゃんがこんなに心配してくれるなんて、僕は幸せ者だなぁ」

どこか他人事のような口調で言う出久くんに、私は思わず顔を上げた。

『私は本気で心配してっ…』

言い切る前に、唇に柔らかいものが触れた。

そのまま角度を何度も変えて、キスを続行させられる。

息が苦しくなってきて顔を離そうとするも、いつの間にか私の後頭部に回された彼の左手により、キスから逃れることは出来なかった。

『…ん………ふ…っ』

「ん…」

やがてゆっくりと彼の顔が離れていき、やっと息が出来るようになる。

「たまごちゃんにはいつも心配掛けてばかりで…申し訳無く思ってるんだ。本当にごめん…」

『出久くん…』

ずるい…そんな風に言われたら何も言えないじゃないか。

『うぅん、私こそしんどい時にごめんね…』

伏目がちになっていると、出久くんが私の右頬に左手を添える。

ちらりと出久くんを見ると、彼の顔がまたゆっくりと近付いてきた。



窓際のパンジー
(僕の心配をしくれるたまごちゃんが、愛しくて仕方ない)

次ページおまけ→
緑谷が腹黒&歪愛気味ですので、苦手な方はここまでで!
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ