Resonance

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聖都ナーオスから東の国アシハラ行きの船に乗り込んだ私達。

もうすぐアシハラが見えてくる頃だ。

私達は船内に居たみんなと合流し、船の前方へと来ていた。

なんと、ルカが船酔いをしてしまったのである。

外の空気を吸った方がマシになるとのことなので、私達はルカに続いて外に出ていた。

みんな、ルカが心配なのだ。

「まったく…おたんこルカったら、船酔いなんてだらしないわね!」

「ん…あ…あぁ…」

ルカは三角座りをしている。

随分と顔色が悪いようで、イリアへの返事も曖昧だ。

「まぁイリアったら。さっきまで自分だって…」

「あれはただの頭痛よ!船酔いじゃないもん」

「ルカくん、水でも飲むかい?」

イリアとアンジュの隣をすり抜けて、コンウェイがルカの元へとしゃがみ込む。

「いや、いいよ…もうすぐアシハラでしょ?陸に上がればすぐ良くなるから」

「お!アシハラが見えて来たぜ、ほら!」

スパーダは船の一番前で前方を指差している。

『だってさ。ルカ、もう少しの辛抱だからね!』

「うん…ありがとう、タマゴ」

私はルカの背中を擦った。



***



船は無事 東の国アシハラに到着し、私達は船を降りた。

ルカは大きく伸びをしている。

「ふぅ…ほら、陸に上がれば大丈夫」

『ほんとだ。体調が戻って良かったよ〜…!』

「心配掛けてごめんね」

ルカと私がやり取りする隣で、スパーダは町をぐるっと見渡していた。

「ホントにここがアシハラかよ?思ってたより寂しい町だな」

「この町は年々水没しているからな。かつては広大な版図を有した海洋国だったのだが…」

「各地で起きてる天変地異も、この町を見ればその深刻さがよく分かるね」

確かに、海の中をよく見てみれば階段や建物があるのが分かる。

以前はここも陸だったのだろう。

「なぁなぁ、はよ町見て回らへん?ウチ楽しみやねん!」

「そーだそーだ!エルの言う通りだぞーしかし!」

「はいはい、それじゃ行こうか!」

待ち切れない!というようなエルとコーダに、イリアは声を上げた。

私達はイリアに続いて歩き出す。

なんだか独特の雰囲気があって素敵な町だな。

女の人が着ている服も可愛い…民族衣装だろうか?

「さてと、そろそろ本腰入れて情報収集と行くかぁ!んじゃあ例によってコイントスで二人組を…」

スパーダは言いながら、コインを弾いた。

コイントスの結果、ペア割はこうだ。



アンジュとリカルド。

スパーダとエルマーナ。

コンウェイと私、それにコーダ。

ルカとイリア。



おぉ、見事に男女で別れたなぁ。

ていうかルカとイリア二人かぁ…!

スパーダ、ナイス。

ここで二人に何か進展がありますように!

思わず笑顔が漏れそうになるがグッと堪えておいた。

「では、落ち合う場所はここだ。いいな?」

『はーい』

リカルドの声に頷く私の近くで、ルカとスパーダが何やらヒソヒソとやり取りをしている。

「(気を利かせてやったんだからよ、上手いことやれよな)」

「(…ええ!じゃあさっきのコインはインチキ…)」

「(人聞きの悪いこと言うなよ、インチキしたのはお前の組だけだって。流石にオレんとこもインチキするとなると怪しまれるからな)」

「(やっぱりインチキじゃないか…!)」

会話の内容はあまり聞こえないけど、二人が楽しそうで何よりだ。

「じゃあタマゴさん、行こうか」

『あ、うん!コーダも行くよ〜』

「待つんだな、しかし〜!」

私はコンウェイとコーダと共に歩き出す。

そんな形で私達は一時解散となったのだった。
 
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