Resonance

□08
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「な…なんだこのガキ!おいお前等!この不気味なガキを取り押さえろ!」

「へ…へい!」

商店主に返事をした護衛達。

そんな彼等をエルマーナはじろりと一睨みした。

「ウチ今めっちゃ機嫌悪いねん…近寄らんといてくれる?…死んでも知らんで?」

『…!』

声を低くしてそう言うエルマーナに鳥肌が立った。

転生者の…雰囲気というか、圧のようなものを感じる。

「ひぃ…!!」

護衛達はエルマーナに恐れをなしたようで、商店主を置いて逃げ出した。

「お…おいお前等!何のために高い金を払っていると思っとるんだ!おい!」

逃げ出した護衛達が戻って来る気配は無い。

残るは、巨体の用心棒だけだ。

「ふん…ガキのくせに大した闘気じゃのう〜」

「おお!お前がおったか!グフフ、コイツはこの界隈でもっとも凶暴で凶悪な男だぞ!」

「どうら、ちょっくらワシが遊んじゃろうかのぉ…」

巨体の男は肩をぐるぐる回しながら小さく呟き、次に…

うらぁああああッ!!

なんと、鬼のような姿に変身したのだった。

この変身には見覚えがある。

『この人も転生者ってことか…!』

「ひぃいいっ!!」

用心棒が転生者だったことは知らなかったようで、商店主は尻もちをついて驚いていた。

「な…何じゃお前までッ!バババ…バケモノじゃったんか!」

「バケモノのワシだからダンナを守れるんですけどのぅ」

鬼の姿に変身した用心棒を見てもエルマーナはまったく臆する様子はなかった。

「ハッ…なんや、あんたも転生者かいな。遠慮はいらんで、本気でけぇへんかったら大怪我すんの自分やしな」

「神が許さなくても私が許します!エル…やっておしまいなさい!」

アンジュが大きく手を上から下に振り下ろした。

「このワシに向かって本気で来いとは大きな口を叩きよるわい…吐いた唾飲むんじゃねぇぞ!」

「アンジュ姉ちゃん等は手ぇ出さんといたってや。ウチが自分で始末つけな気ぃ済まんで」

エルマーナは私達を横目にそう言うが、私達は誰一人エルマーナに加勢しようとはしなかった。

…この勝負、エルマーナが勝つ。

みんな、なんとなくそう悟っていたからだ。

「いくでー!」

エルマーナの身体を光が包んだ。



***



「うぐぐ…その力、まさか…」

鬼の用心棒が地に膝をついた。

エルマーナが勝ったのだ。

「あわわわわわ…お、おい貴様!用心棒だろう!更に金を倍払う!何とかせんか、何とか!」

この期に及んで、まだお金の力で物を言わせようとする商店主にイラッとする。

それはリカルドも同じだったようで、今まで黙っていた彼が口を開いた。

「法を逸脱した私的制裁に人身売買、貴様の罪は重い。その罪の重さは…そうだな」

リカルドはライフルを構えた。

「弾丸一発分ほどか?」

『二発分にしない?』

「そんなんじゃ足りないわよ!」

リカルド、私、イリアと、三人揃って銃を商店主に向ける。

すると商店主は血の気が引いた様子で、ズリズリと後ろに後退った。

「ひぃぃッ!!今すぐ何とかしろ!金はいくらでも払う!払うぞ!用心棒ぉぉお!」

すると…

「うるさいわ!金なんぞいるか!」

鬼の用心棒が、商店主を殴り飛ばしたのだ。
 
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