Resonance

□08
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「ここ、ここ!ここやねん、あいつの家!」

エルマーナに先導され、とある家…というより、屋敷の前に立つ私達。

どこからどう見ても豪邸だった。

「うっわ…なにこの豪邸…」

「まともな商売だけしてちゃあ、こんな屋敷は建てられねーだろうな」

「ほな行こか!」

私達は門を潜り、敷地内へと足を踏み入れる。

『こういう時って玄関から入っても良いのかな…?』

「当たり前やで!こういう時やからこそ、正面突破や!!」

エルマーナは拳を突き上げながら力強くそう言った。

ふふ、小さい身体なのに本当に頼もしいなぁ。

私達はエルマーナの言う通り、正面玄関から屋敷に入った。

「ふわぁ〜…あるとこにはあるもんやなぁ」

屋敷に入って一番最初に目に付くのが、商店主の肖像画だ。

正直、悪趣味だと思う。

「この何十分の一でもえぇからウチにあったらチビども1000人養うてやれんのになぁ」

「あの様子ではこの屋敷内にも施設の護衛を雇っているだろうな」

『相手方の姿は見えないけど、どこかに隠れてるかも。気を付けないと…』

「そうだね…さぁ早くあの子達を探そう」

私達はルカの声に頷いた。



***



屋敷内を探索し、いくつかの仕掛けを解いた私達は、バタバタと最後の一室へと駆け込んで行く。

扉を開けると…

「ああ!エル!助けに来てくれたんだね!」

連れ去られた子供達がそこに居た。

もちろん子供達だけでなく、商店主やその護衛等の大人達も居る。

「グフフフ…貴様等がよもやここまで辿り着くとはな!まったく何のために用心棒を雇っているのやら!不甲斐無い奴等だ!」

商店主に臆することなくエルマーナは大人達の前に出た。

「その子等返してもらおか!ウチの大事な子等やねん!」

「ええい!これ以上騒ぎを大きくして役人共にバレるのもまずい!おいお前達、コイツ等を始末しろ!」

商店主は焦った様子で声を荒げた。

「お役人にバレるとまずい…?」

『口が滑ったみたいだね』

アンジュと私は顔を見合わせる。

「お役人にバレるとまずいとはどういう意味ですか?そのお話詳しくお伺いしたいですね…」

アンジュは言いながら一歩前に出た。

「まさかその子供達の拘束は貴方一個人の身勝手な私的制裁…ガルポスの農場へ送るという話も、貴方が私欲を満たすための人身売買。…そんなお話ではありませんよね?…よね!?」

鬼気迫る表情で詰め寄るアンジュに、商店主は更に焦り始めた。

「あわわわわわ…そ…それが貴様等に何の関係がある!」

この回答は…罪を認めたも同然だ。

今度はエルマーナが商店主の前に出た。

「あぁん?ちょお待ちぃや。そういう話やったらウチも遠慮せぇへんで?その子等…力づくでも返してもらうで…」

構えの体勢を取るエルマーナ。

彼女からは秘めやかな怒りを感じた。
 
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