Resonance
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「ここ、ここ!ここやねん、あいつの家!」
エルマーナに先導され、とある家…というより、屋敷の前に立つ私達。
どこからどう見ても豪邸だった。
「うっわ…なにこの豪邸…」
「まともな商売だけしてちゃあ、こんな屋敷は建てられねーだろうな」
「ほな行こか!」
私達は門を潜り、敷地内へと足を踏み入れる。
『こういう時って玄関から入っても良いのかな…?』
「当たり前やで!こういう時やからこそ、正面突破や!!」
エルマーナは拳を突き上げながら力強くそう言った。
ふふ、小さい身体なのに本当に頼もしいなぁ。
私達はエルマーナの言う通り、正面玄関から屋敷に入った。
「ふわぁ〜…あるとこにはあるもんやなぁ」
屋敷に入って一番最初に目に付くのが、商店主の肖像画だ。
正直、悪趣味だと思う。
「この何十分の一でもえぇからウチにあったらチビども1000人養うてやれんのになぁ」
「あの様子ではこの屋敷内にも施設の護衛を雇っているだろうな」
『相手方の姿は見えないけど、どこかに隠れてるかも。気を付けないと…』
「そうだね…さぁ早くあの子達を探そう」
私達はルカの声に頷いた。
***
屋敷内を探索し、いくつかの仕掛けを解いた私達は、バタバタと最後の一室へと駆け込んで行く。
扉を開けると…
「ああ!エル!助けに来てくれたんだね!」
連れ去られた子供達がそこに居た。
もちろん子供達だけでなく、商店主やその護衛等の大人達も居る。
「グフフフ…貴様等がよもやここまで辿り着くとはな!まったく何のために用心棒を雇っているのやら!不甲斐無い奴等だ!」
商店主に臆することなくエルマーナは大人達の前に出た。
「その子等返してもらおか!ウチの大事な子等やねん!」
「ええい!これ以上騒ぎを大きくして役人共にバレるのもまずい!おいお前達、コイツ等を始末しろ!」
商店主は焦った様子で声を荒げた。
「お役人にバレるとまずい…?」
『口が滑ったみたいだね』
アンジュと私は顔を見合わせる。
「お役人にバレるとまずいとはどういう意味ですか?そのお話詳しくお伺いしたいですね…」
アンジュは言いながら一歩前に出た。
「まさかその子供達の拘束は貴方一個人の身勝手な私的制裁…ガルポスの農場へ送るという話も、貴方が私欲を満たすための人身売買。…そんなお話ではありませんよね?…よね!?」
鬼気迫る表情で詰め寄るアンジュに、商店主は更に焦り始めた。
「あわわわわわ…そ…それが貴様等に何の関係がある!」
この回答は…罪を認めたも同然だ。
今度はエルマーナが商店主の前に出た。
「あぁん?ちょお待ちぃや。そういう話やったらウチも遠慮せぇへんで?その子等…力づくでも返してもらうで…」
構えの体勢を取るエルマーナ。
彼女からは秘めやかな怒りを感じた。